日本アグフア・ゲバルト 岡本勝弘社長インタビュー

印刷会社のプリプレスFAを推進
パレットローディングエキスパート・ローダー好調
PTSで版曲げ、振り分けを自動化
プリテックステージニュース 2019年6月25日

IGAS2018から間もなく1年、来年のdrupa2020まで残り1年となった。日本アグフア・ゲバルト㈱は昨年のIGAS2018で〝プリプレス ファクトリーオートメーション〟を打ち出し、部分最適から全体最適に切り替えるソリューションを提案した。現在、そのコンセプトに基づいた製品が続々と導入され、投資効果も報告され始めている。同社の岡本勝弘社長に具体的な成果と今後の取り組みについて語って頂いた。

工場内をデザインする


日本アグフア・ゲバルト
代表取締役 岡本 勝弘

 

 IGAS2018は当社にとってすごく成功した展示会でした。プリプレスのファクトリーオートメーション(FA)というコンセプトに沿って出展した新製品やサービスが現在、好調に採用されています。最初は今さらCTPやプリプレスと言われるかと思っていましたが、プレートのパレットローディングシステム『エキスパート・ローダー』はすでに10台を超える受注を頂き、商談が増えている状況です。経営者にとって目に見える効果が評価されたのだと感じています。
 エキスパート・ローダーはパレットごと1200版のプレートを装填し、CTPシステムに自動でローディングする装置です。

 納入先では、24時間、止まることなく動いています。30版の箱を開けてワンプを切り、プレートを装填するのは重労働です。人手が不足する中、男性2人の作業が女性1人で繁忙期にも対応できたケースもあります。力が必要な現場でも女性が活躍できる場ができたということです。
 東京都東大和市のニシカワ様に納入したケースでは、エキスパート・ローダーにプレート・トランスポーテーション・システム(PTS)を連結させ、版曲げや機械ごとのスタッカーへの振り分けを自動化しました。それに伴いできるだけ印刷機に近いスペースに刷版室も移設しています。現像レスプレートのアズーラは現像にかかる手間や排水工事がなくなり、網点も安定しているため、特別な部屋が必要ありませんから、印刷機の近くに刷版室を移設しようとすればできてしまいます。アグフアでは、現在、自動化・省力化を実現するために最適な導線を考え、必要であれば、印刷機の近くに刷版室を設けるなど、そうした工場のレイアウトまでをご提案しています。

 エキスパート・ローダーが順調に稼動しているのはリリース前に検証を重ね、安定稼働できるよう独自に改良しているためです。ただ、機械なので絶対はありません。アグフアは近々、IoTによるリモートメンテナンスを強化します。お客様が気付く前にトラブルに対処し、ダウンタイムを極力短縮することが目的です。
 CTPシステムも印刷機も、1台当たりの生産性は上がっています。速い機械への入れ替えが進めば台数が減り、1台当たりの重要性が増します。どこかが止まれば、トラブルが大きくなるわけです。

 
受注が10台を突破したエキスパート・ローダー
 
 無人化したものの、知らないうちに機械が止まっていたということにならないよう、エラーをすぐにキャッチし、直ちにリモートによる操作やサービスマンの派遣、部品の供給でカバーする体制を構築しています。アグフアが関わったFAシステムについては当社が全て対応します。コンベアも含めてメンテナンスし、部品の在庫も保持します。
 印刷会社様の工場ではFA化の余地が多く残されていると思います。あるお客様からは産業用の掃除ロボットがあっても良いのでは、というお話を頂きました。こうあるべきという工場の姿を突き詰めていくと、アグフアがお役立ちできる場面がもっとあると視野が広がります。
 IGASではプリプレスFAの一つとして、クラウドベースのファイルストレージサービス『アポジー・ドライブ』の機能の一つとして『アポジー・ドライブ オートパイロット』をリリースしました。例えば、入稿されたファイルの最適化やチェックなどの作業を自動化するもので、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)のように動くソフトウェアです。クリック数を少なくジョブを流すことがコンセプトで、多くのファイルを扱う印刷会社様に最適です。
 印刷会社様のお仕事の多くは、仕様が多様でイレギュラーが多く、全てが標準化できないと思います。ただ、標準化できるところは必ずあります。そこを自動化していくだけでも大きな成果があります。今はテクノロジーが進化し、ある程度のイレギュラーがあっても自動化しやすくなっています。

"工場長サミット"開催 速乾印刷技術をレベルアップ

 6月18日に愛媛の佐川印刷 佐川正純社長のお声掛けのもと、『工場長サミット』を開催しました。速乾印刷の技術を磨き、印刷現場の変革を目指している印刷会社の工場長をはじめ、現場の方々にお集まりいただき、技術交流を通して自社のレベルアップにつなげていただくことが狙いです。
 1回目は発起人の佐川印刷様と関東地区の7社の印刷会社様が参加され、ここに当社の速乾印刷のコンサルティングを担当するスタッフが加わり、技術者の同士で高いレベルの議論が交わされました。
 速乾印刷は大きな投資の必要がなく、現場を変えられます。プレートと資材、印刷機の運用を変えるだけで、経営的な効果が現れます。しかし、現場の改革は経営サイドだけでできるものではありません。現場の技術者の創意工夫が必要です。今回の工場長サミットでは使用する湿し水、インキ、ローラーなどの資材の適性や、印刷機メンテナンスの方法、人材育成など、有益な情報が提供されました。アグフアとしても、現場の方が感じている細かい課題を知ることでサポート面でのレベルアップを図っていきたいと考えています。
 第1回目の工場長サミットの模様は、実際のお客様の声として広げていきます。さらに中部や近畿などの各ブロックでの開催、そして最終的には全国大会が開けるようになればと思います。

クラウドワークフローのサブスクリプション開始

 クラウドべースのプリプレスワークフロー『アポジー・クラウド』は、2016年に国内で発表し、徐々にユーザー数が増えていましたが、今年に入り、さらに商談が頻繁に入り始めました。クラウド化のメリットが浸透してきたのと、アポジーのライセンスや、クラウド上のサーバーの構成を月単位で変更できるサブスクリプションサービスの開始がきっかけになったと感じています。
 クラウドはプリプレスワークフローのメインストリームになると思います。今まで繁忙期に合わせてサーバーを購入する必要がありましたが、クラウドであればそうした投資がなくなります。サブスクリプションであれば、月ごとに料金が変動しますから一層、メリットがあります。
 近年では、デザインソフトが高機能化し、複雑な表現を使ったデザインが簡単になりました。デザインソフトのバージョンアップにRIPの対応が追い付かないケースも考えられますが、クラウドであれば修正プログラムがすぐにアップされるので、常に最新の状態でRIPが運用できます。ウイルスに対するセキュリティも最新の対策が施されています。お客様自身のそうした負担は間違いなく減ります。必要に応じてアカウントを追加すれば、その日からアポジーの機能を使うことができることもメリットです。

インクジェットも順調に

 アグフアのワイドフォーマットUVインクジェットプリンタも毎年、販売台数が伸びています。印刷会社をはじめ、現在、シルクスクリーン、サイン・ディスプレイにも広がり、大型機の市場でシェアが高まっています。
 大型のインクジェットプリンタは5年周期で入れ替え需要があります。インクジェット技術は技術的に進歩が早く、5年前の機械と今の機械では生産性、品質ともに格段に向上しているからです。アグフアでは入れ替えで出力速度や画質の向上に限らず、ニスや厚盛りを加えた表現を提案しています。従来の範囲に限られない仕事の獲得につながります。表面に凹凸を加えることで、素材そのものの質感だけではないリアル感のある表現が得られます。
 また、アグフアはインクメーカーでもあります。ニスや厚盛りはそうした技術に裏付けされており、OEMでの提供も伸びています。
 drupa2020では当然、新製品を出していきますが、日本国内では今まで同様、お客様視点という延長線上で、課題解決型の製品を提供していきます。これからMISとの連携を含め、当社の製品がもっと活きる形を増やしていければ、お客様に良いご提案ができると考えています。