栄進堂印刷株式会社

月額制新サービスで成果

プリプレスの工数削減

日本印刷新聞 2020年2月24日

 

日強い印刷会社、生き残る印刷会社には明確な経営方針に基づいた特色や営業姿勢、強みがあるものだ。同業者からの下請けを専業として、高度な印刷物への品質追求と短納期対応力で顧客からの信頼を得ている栄進堂印刷㈱(本社・京都府京都市南区久世大藪町426、西藤栄祉社長)では今年2月、ジョブ量および出力版数の増加によるプリプレス工程の負荷増大とよりいっそうの短納期要請に対応するため、アグフア社製のプリプレスワークフローシステム「アポジー」を月額制で利用する新サービス「アポジー・サブスクリプション」を採用した。月額定額制のサブスクリプション方式の契約で初期投資を要さずに、「アポジー」の自動化機能によるプリプレス部門の工数削減を図っている。

 

企業ルポ

 同社は昭和28年に創業したオフ輪専門の印刷会社。B2判4/4色機1台とB3判4/4色機2台を擁し、チラシの仕事をメーンとしつつ、そのほかにカタログや学参物といったページ物の印刷も手掛ける。また平成27年からは、午前中に原稿データの入稿と入金確認がされると当日の夕方に製品の発送をする「特急印刷(http://tokkyuprint.com/)」という印刷通販事業も展開しており、短納期の難しい仕事で困っている同業者から頼られる存在として広く認知されている。

 印刷方式の種類を問わず小ロット化傾向は進行の一途を辿っており、それは大ロット生産を得意とするオフ輪印刷も例外ではない。受注案件としては大ロットだとしても支店や営業所、地域ごとに多様なバージョニングを印刷物に施すことは近年では当たり前となってきている。その場合、1回の大ロット印刷ではなく細かな差し替えを重ねることになり、その結果として小刻みに印刷と差し替えによる停止を繰り返す小ロット印刷で対応することになる。同社でも月間の平均ジョブ数は約800ジョブながら出力する版数は6500~8000枚に達する。小回りが利くB3機のジョブ数はとくに多く、1日あたり各15~20ジョブをこなしている。

 

 同社の大きな特徴の1つ、それは短納期対応力の高さだ。顧客もその点に期待をして発注していることから、夕方の最終発送時間に間に合うような生産対応をしなければならない。それを実現するための社内の状況について「印刷機の回転速度を上げる努力もするが、使う紙が薄くなるとそれも簡単ではなく、また小ロットでは印刷機が最高速に達する前に仕事が終わることもある。そこで着目したのがプリプレス部門の効率化で、データ入稿されてから刷版出力までの瞬発力を高めようと考えた。しかもデータが入稿される時間帯は往々にして重なるものなので、そこで人手による作業を多く要していてはプリプレス部門のオペレーターの負担は大きくなるばかりになる」と同社製造部の前田宏二ゼネラルマネージャーは語る。そこで、この課題を解消するために、さまざまな処理の自動化が図れることで、既設のプリプレスワークフローシステムよりもオペレーターの工数を削減できる「アポジー」の採用に踏み切った。

 

 プリプレス部門の自動化による工数削減は、同社の働き方改革にも寄与する。「働き方改革と言っても、単に労働時間を減らすだけでは仕事量・生産量が減り、売上も利益も減ってしまう。そこで当社では、自動化による工数削減によって生まれる時間的余裕を活用し、プリプレス部門のオペレーターに人手のかかる折り・断裁工程作業のサポートへ回ってもらっている。最近はB5仕上げの仕事が増えているので、オフ輪でB4シート出しをしてもさらに断裁しなければならず、後工程の負荷が増えている。それでも“アポジー”を採用したことで、現行の人員で多能工化してもらうことでスムーズに仕事を流せる」(西藤社長)

 そんな同社が導入したのは、つねに最新バージョンの利用が可能な業界初のクラウドワークフロー「アポジー・クラウド」のライセンスをローカルサーバーで使用できる、月額制の「アポジー・サブスクリプション」だ。バージョンアップをするとつねに最新のものが使用でき、新バージョンでも月々の支払額はそのまま。最新機能オプションも月額に含まれるシステムである。 
  

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西藤社長 

     

「RIP自体を購入するとなると初期投資がそれなりにかかる。また、想定していないタイミングでのバージョンアップによって突然の出費を要するのは財務上の負担になる。恐らくサブスクリプション方式の方がライフタイム全体での総額は大きくなるのだろうが、突然の出費を気にしないで済むというのはメリットだ。月極の支払額は毎月のランニングコストと捉えられるので、各部門の予算にその分を含めて算入すれば償却分の目標設定もしやすくなる。大きな初期投資をしてから全体で償却をするよりも月々のランニングコストとして捉える方が身近な目標となるし経理面でも楽になる」(西藤社長)

「アポジー」の採用にともなって、同社のもう1つの強みである高度な印刷物への品質追求という点もいっそう強化される。それは、AMスクリーニングとFMスクリーニングの技術を融合させたXMスクリーニング「スブリマ」による高精細印刷をスタートさせるからだ。「これまでも200線で印刷をしているが、AMとFMの良さを兼ね備えた“スブリマ”は刷りやすいので、印刷機の回転速度も上げられて負担も少ない。175線、200線、240線の3パターンでザラ紙へカラー印刷したテストサンプルを顧客に見せたところ、やはり240線のものが選ばれた。高品質で顧客を囲い込めることにもつながるし、印刷品質で選んでもらえることは社内的にも励みになる。今後は“スブリマ”の240~280線を当社の標準印刷としていきたい」と「アポジー」採用にともなうステップアップ効果について、同社製造部刷版課の井口隆文マネージャーは語る。    

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 井口マネージャー

     
同社では3年程前から、使用する刷版を現像レスプレート「アズーラ」に全面変更し、湿し水量を絞ることで少ないインキ量でも濃度が出ることからドライヤーの設定温度を下げられる「低温乾燥印刷」にも取り組んでいる。乾燥温度を下げることで火じわやカールの発生が抑制でき、印刷品質も向上する。「低温乾燥印刷に取り組んだことで印刷品質が向上し、しかも少ないインキ量で濃度が出るのでインキマイレージも向上した。そして今回、“スブリマ”を採用することで、印刷品質もインキマイレージもさらに向上することが見込まれる」と前田ゼネラルマネージャーは期待を表す。 また、西藤社長は「オフ輪会社同士で価格競争が激しくなっているが、価格だけでなく印刷物の品質で評価してもらえることを目指している。そのための1つの武器が“スブリマ”だ。また最近は、インキ乾燥待ちや後加工が別工程になることで納期が長くなることを嫌ったり、折り加工ができない薄さの紙を使用するために、枚葉印刷機でやっていた仕事をオフ輪へ移行するケースが出てきている。そういった顧客の悩みを解消しつつ、枚葉印刷との品質差がない製品を提供できる体制を整えたい。  

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前田ゼネラルマネージャー 

顧客が生産方法を選ぶ時代となった今、仕事を発注してもらえる、集められる武器を多く作ることが大事となる。これからも製造・営業ともに向上を図って、“栄進堂印刷に頼めばなんとかしてくれる”と思ってもらえる存在になりたい」と今後の見通しを語った。  

会社紹介

 栄進堂印刷株式会社

 代表取締役社長 西藤 栄祉

 創業   1953年

 資本金  1,000万円

 事業内容 輪転印刷機による新聞折込広告及び書籍の印刷、各お得意先印刷会社の下請け業務

 従業員数 40名

 設備   滋賀工場:B2・4°×4°輪転印刷機 2台 B3・4°×4°輪転印刷機 2台

 栄進堂印刷ホームページ

 

 

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