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大和出版印刷株式会社

高精密印刷で高級志向の市場へ進出《前編》

 

日本印刷新聞 2009 年8月26 日号掲載

 

現在、国内印刷市場は縮小傾向にある。そのため、従前の営業方法・営業品目だけでは、市場縮小のペースと同じくして、各印刷会社の経営も縮小していくのは自明である。そのような中、新分野・新市場へ果敢に打って出ることで、新たな経営の活路を見出した事例を紹介していく。


■ 240線が標準仕様に アグフア社「スブリマ」活用


 大和出版印刷㈱(兵庫県神戸市東灘区向洋町東2ノ7ノ2、武部健也社長)では、同社にとって新しいマーケット分野である高級志向の顧客をターゲットに、高精細印刷を平成16年から開始した。一般的には難しいと言われ、印刷現場では積極的に取り組みたがらない高精細印刷をスムーズに導入するため、AMスクリーニングとFMスクリーニングの特徴を兼ね備えた、扱いやすくて刷りやすいアグフア社製のXMスクリーニング「スブリマ」を活用。営業・製造の両部門にとって、それぞれにメリットがある新分野創出に成功している。

 

武部健也社長

武部健也社長

 
   

 同社の創業は昭和23年。創業者(現社長の祖父)が高校の教員をやっていた縁から、教育関連の書籍・印刷物を中心とする文字物の仕事を展開してきた。従業員数は25人で、印刷設備には本文用のモノクロ両面印刷ができるように菊全判両面兼用2色機が2台、表紙印刷用に菊半裁4色印刷機が1台、その他にA3判の2色機と単色機を保有し、現状の仕事内容にマッチした機械構成を敷いている。
 同社は平成14年、現社屋新築を機に、4色印刷機やプリプレスワークフローシステム等を一新した。ハイデルベルグ社製菊半裁4色機「スピードマスターSM74-4」、アグフア社製バイオレットCTPで菊全判の「ガリレオ」と菊半裁の「パラディオ」、そしてアグフア社製PDFワークフローシステム「アポジー」を導入し、印刷品質の向上と工程の短縮化を図り、高品質カラー印刷への歩を踏み出した。「印刷機は長くハイデルベルグ社製のものを使ってきたので、それを踏襲した。工程の短縮化を大きく左右するプリプレスワークフローに関しては、A4を2ページ・B5を1ページ・B6を2ページ付け合わせ、中にRGBデータを仕込むなど、極端に条件が悪いサンプルを使い、色々なメーカーの製品を試した。その結果、最も適切なアラートを返してくれ、わかりやすくて使いやすかったものがアポジーだったので、採用を決めた」と、新しいスタートを切る礎となる設備更新をした背景を、武部社長は振り返る。

 

 その頃の同社にはまだ、顧客から高級カラー印刷への要望は寄せられていなかった。そのための設備もなかったので、高級印刷に関する営業もしておらず、また高級印刷に対応する協力会社もあったので、もしそのような仕事があった時は外注に出す形を採っていた。その当時、同社では高精細印刷=FMスクリーニングという固定観念を持っており、さらにFMスクリーニングは安定した品質で刷るのが難しいという評判から、採用するにはハードルが高いと判断していたのだった。その一方で、官公庁の入札や、その他の仕事でも価格競争に巻き込まれていったことから、ダンピング合戦に身を置かない道へ進むことを狙っていた。その時に出会った技術が「スブリマ」だった。
「スブリマ」は、中間部はAMスクリーニングで、ハイライト部とシャドウ部ではFMスクリーニングの技術を応用するXMスクリーニング技術で、210線から340線といった高精細出力を実現するもの。RIPの処理時間、使用資機材、刷り易さともにAMスクリーニングと変わらないことから、オペレーターに負担をかけずに従来ワークフローのまま高精細印刷をすることができる。

   

 同社でも印刷テストを実施したところ、これまでのフローと何も変えずにできるという印刷現場からの報告があった。オペレーターに余計な負荷を掛けることなく、かつ営業効果が得られることから、平成16年に「スブリマ」の採用に踏み切った。「まず、CTPを導入して印刷オペレーターの省力化が図れていたことから、意識を品質追求に注げるようになっていた。そして現在では、“スブリマ”による240線での印刷が当社の標準仕様になっている。

 印刷現場では、自分達の手できれいな印刷物を刷ることができるという実感から、仕事に対する姿勢が変わった。美しいものを生み出したいという作り手ならではの欲求が強まり、モチベーションが向上したのは、“スブリマ”を導入して高級印刷の仕事を始めたことが大きな要因だ」と、武部社長は語る。このようにして「スブリマ」を活用した高精細印刷を始めると、間もなくして顧客から高級カラー印刷の仕事を紹介してもらえるようになるなど、すぐに評価を受けるようになった。

 2台の「アバロンLF」高精細かつ 環境にやさしいプレートを出力する

2台の「アバロンLF」高精細かつ
環境にやさしいプレートを出力する

   

 同社の印刷分野では、「スブリマ」による高級印刷に加え、もう1つの柱がある。「人に優しく、地球に優しい」というモットーから、環境配慮型の印刷も展開。そこで、平成19年2月に、アグフア社製ケミカルレスCTP版「アズーラ」と菊全判サーマルCTP「アバロンLF」を導入。そして、「スブリマ」と「アズーラ」の技術をベースに、環境保護印刷推進協議会(=E3PA)が定める最高ステータスである、クリオネマークのゴールドプラスを昨年6月に認証取得した。

 ケミカルレスCTP版の「アズーラ」は、イメージングをした後に現像工程を必要とせず、ガム液とブラシで洗浄だけを行うもの。現像液を使用しないため環境に優しい他、現像液管理が不要なため簡単メンテナンスと安定した品質が実現できる。また、印刷機上で現像処理をするタイプではないので、印刷前に目視で検版することができる。「現像液を使わないので、液の劣化による変化が起こらず、品質が安定する。コストについては、感材は若干高くなるが、現像液代と廃液処理代がいらないので、大きなメリットがある。当社の印刷分野は、“スブリマ”で高品質、“アズーラ”で環境という2本柱でいくと決めた。市場は、高級分野も環境分野も伸張傾向にある。社内の製造コストも顧客への提供価格も従来通りなので、当社と顧客のお互いにとってメリットがある」(武部社長)

 

印刷分野の柱となる製造技術はできあがった。次のステップは、高級印刷を望む顧客をどのようにして探し出し、それに対してどのようなアプローチをするかがポイントとなる。
【次号へつづく】

 
 
 
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