株式会社ニシカワ

”働き方”を変えるクラウドワークフロー

『Apogee Cloud(アポジークラウド)』を社内改革につなげる

デジタル・メディアソリューションズ 2017

 

株式会社ニシカワ(東京都東大和市/西川誠一社長)は2016年からアグフアのクラウドワークフロー『アポジークラウド』の運用を開始し、各拠点のRIPワークフローの改革を進めている。次に見据えるのがクラウド型拡張オンラインストレージ『Apogee Drive(アポジードライブ)』を利用したテレワークによる“働き方改革”。将来的にはMIS(経営情報システム)『PrintSapiens』(J SPIRITS製)と、アポジードライブをはじめ、各デバイスが連携したスマートファクトリー化構想を描いている。

 

 

生産拠点が分散 早くからネットワーク化

 

同社は1948年に創業。オフ輪専業の印刷会社として、折込チラシを中心とした商業印刷で業容を拡大してきた。現在はオフ輪専業から“情報加工サービス業” への転換を進めており、デジタルメディアを手掛ける株式会社ネクスメディアの立ち上げ、3DCG・アニメーション制作のガオカンパニー株式会社との経営統合などを行い、印刷事業の業際を拡げている。

 

従業員は300名。東大和市の本社と、埼玉県狭山市の笹井事業所、埼玉県日高市の日高事業所の生産拠点を持ち、24時間体制で稼動している。印刷機はB縦半裁輪転機6台、A横全判輪転機1台を保有する。

  

    ニシカワ 西川誠一社長

 業務の7割は直受。クライアントからは販促に関する相談や問い合わせが直接寄せられる。同社の西川誠一社長は、印刷物を中核にしてサイン&ディスプレイやWeb、SNS、動画、CGなどを取り込んでこられた理由について「クリエイティブ部門を持つ会社の強み。営業部隊がお客様のニーズを顕在化し、クリエイティブ部門がその課題に応えるという風土があります。何よりお客様から教えて頂き、それに食らいついて勉強して、提案できるところまで昇華させることが仕事」と述べる。ニーズに対応できる柔軟な組織が同社の強みといえる。

 最新技術の取り組みも早い。1990年代初頭にはMacintoshでチラシデータの制作に着手。2000年初頭にはアグフアのPDFワークフロー『アポジー』の国内1号機を導入して、各拠点をネットワークで結んだ。「当時、ワークステーションで集版していましたが、データ容量が重く、INSネット1,500の回線で送るのは現実的ではありませんでした。それがPDFでデータが軽くなり、通信が現実のものとなった。それ以降、アポジーとともに歩んできました」(西川社長)。工場でPDFからフィルムを出力することができるようになったため、製版フィルムを運搬する必要がなくなったが、まだ、印刷見本となる校正紙は物流に頼っていた。その後、各拠点間でCMS体制を整え、送信したPDFを基に、工場に設置した大判インクジェットプリンタで印刷見本を出力できるネットワークを確立した。

7台のRIPサーバーが不要に コスト、負担が低減

 西川社長は「デジタル化が進むと、仕事のやり方が変わります。写植やフィルム出力工程がなくなった時と同じように、その担当者の役割も変わるのです」と指摘する。各拠点がネットワークで結ばれ、あたかも一つの工場として機能するようになったのだが、「制作サイドで面付け、RIPができれば工場に同じ機能はいりません。世の中がIoTやインダストリー4.0と言われているのに、各拠点で同じことをしている。それが当たり前の仕事として認識されている状態でした」と新たな問題点が見えてきた。アグフアから『アポジークラウド』が提案されたのは、そうしたタイミングでもあった。

 アグフアからアポジークラウドが提案された時、西川社長は「サーバールームも、ハードウェアの管理者もいらない。バージョンアップを考えなくても良い。良い事ばかり」と直感した。同社にはアポジー用のサーバーが本社に3台、笹井事業所に2台、日高事業所に2台の計7台設置されていたが、『アポジークラウド』の導入後は全てなくなった。

 実際に、直接的なコスト以外にも労務費が下がった。また、社屋は幹線道路沿いにある。振動対策をしているとはいえ、大型トラックが通った時の振動でディスクに悪影響を及ぼす不安があった。ワークフローシステムに搭載されていながら使っていない機能にストレスを感じることもあった。さらに災害時にサーバールームが破損し、保存していたデータが失われるリスクにも晒されていた。『アポジークラウド』によりこれらの課題が一気に解消したのである。

 クラウド化で懸念されるスピードの低下は生じていない。各拠点で分散されていたRIP処理がクラウドに集中しても、仕事の効率は落ちていないという。処理に必要な容量は個々のユーザーに最適化されているためで、今後、『アポジークラウド』のユーザーが増えても処理速度は変わらない。

 各拠点からのRIPサーバーの撤去に伴い、同社では社内組織体制の見直しも進めている。従来、二つの生産拠点には刷版担当者が24時間交代勤務で、面付け、RIP作業を担っていた。一方、お客様や営業担当者と連絡しながら機械割りや用紙手配、進行管理を行う業務部門は日勤だった。現在、刷版担当者を業務部進行管理課に統合し、日勤だった業務部門を交代勤務の24時間対応とした。「これらの組織変更ができたのも、当社のCTP出力が現像レスの『アズーラ』を採用していたからに他なりません。現像液の管理から解放され、刷版工程で求められるスキルが軽減されていたからこその効果です。ただ、クラウドにより刷版作業が誰でもできる体制が整っても、なかなか刷版担当という感覚がなくなりません。それはまだ面付け作業が残っているためで、近いうちに上流工程に面付け処理も持っていきます」と、組織の見直しを続ける。

クラウド利用のテレワーク 将来的にはスマートファクトリーも

 同社のサーバー管理者は3名。その負担はおおよそ半分に削減された。その分、新たに導入したMISへの取り組み強化など、新しい分野にも力が振り向けられている。DTP作業の在宅勤務を可能にするテレワーク整備もその一つである。

 西川社長は、雇用環境は中長期的にさらに難しくなってくると考えている。「女性は出産、育児で一時的に職場を離れます。復職する際も、遅れてしまっているのではないか、居場所がないのではないかとハンディを感じてしまい、なかなか戻ってこられないこともあります。会社としては可能な限り早く戻ってもらいたい。介護や育児が必要な男性も含めて多様な働き方の選択肢を用意するのは経営者の責任です。泥臭く真剣に、時代に合った労働環境を整えていきたいと思います」と見据える。

 テレワークの構築にはアグフアが8月に発売予定のクラウド型拡張オンラインストレージ『アポジードライブ』を利用する。『アポジードライブ』は印刷会社が必要とする大量のデータの管理及び社内やクライアントとのデータ受け渡しサービスが可能な印刷会社向けのクラウド型ファイルサーバーである。現在、株式会社ニシカワでは導入に向けて在宅勤務者に貸与する機器の選定、ネットワーク利用の規約整備などを進めている。具体的には『アポジードライブ』に各在宅勤務者のフォルダを作り、そこへ仕事に必要なコンテンツを用意。在宅にて制作されたDTPデータを『アポジードライブ』内で管理し、校正終了後は『アポジークラウド』と連携して下版指示を行う。

 西川社長は、将来的にMISに『アポジークラウド』や『アポジードライブ』、各デバイスを連携させて自動化するスマートファクトリーも構想している。ワークフローRIPをはじめとするクラウド化はその端緒となっている。

 「小ロット化が進み、平台印刷機の仕事が増加する傾向にあります。現在、人海戦術で対応している後加工なども自動化した、理想的なワークフローを具現化したいと考えています。さらには人手に頼らざるを得ないアッセンブリ作業の自動化もしたいですね」。西川社長の構想は現実化したクラウドによりますます膨らんでいる。

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