株式会社ニシカワ

IT投資による生産効率向上で「働き方改革」

印刷営業の効率化が鍵

印刷ジャーナル 2018年11月25日

 

日本アグフア・ゲバルト(株) (松石浩行社長)はIGAS2018において、印刷業界にとって深刻な問題となりつつある労働力不足や採用難、スキル低下に対し、「プリプレスのファクトリーオートメーション」をコンセプトに、「多くの小ロットジョブを如何に効率良く処理するか」という視点から、プリプレス工程の自動化と効率化を提案。昨今、業界でも早期対応が叫ばれる「働き方改革」実現に向けたひとつのソリューションとしても注目を集めた。 

 

クリエイティブは「環境づくり」

 

(株)ニシカワ(東京都東大和市、西川誠一社長)では、このファクトリーオートメーションシステム1号機を来年2月に導入。そのコンセプトをひとつの「カタチ」にする計画だ。

 現在、7台のオフ輪機と2台の枚葉機を両輪とするニシカワでは、2016年に日本先行発表されたクラウドワークフロー「アポジー・クラウド」でワークフローをクラウド化。さらに昨年、drupa2016で発表されたクラウド型ファイルストレージサービス「アポジー・ドライブ」を導入し、外部から直接CTP、あるいはデジタル印刷出力ができる仕組みを構築。プリプレス工程の自動化・無人化に向けた改革を推し進めてきた。

 今回、さらにアポジー・ドライブの拡張機能である自動化ツール「アポジー・ドライブ・オートパイロット」と、一度に最大2400版を搭載できる自動化CTPパレットローディングシステム「エキスパート・ローダー」を導入することでさらに自動化を進め、プリプレスのファクトリーオートメーション化に着手する。

  

ニシカワ 西川誠一社長
     

  「当社は、これまでもアグフアの一連のソリューションに先行投資することで省人化・生産効率向上を実現し、それが自ずと『働き方改革』へと結びついてきたように思う。印刷物の小ロット化が進む中、2万版/月以上のプレートを出力している当社がいま目指すのは『プリプレスの無人化』、さらにその先にある『スマートファクトリー』の実現だ。今回の設備投資もそのためのものであり、10年、20年先まで戦っていける企業体質を構築するための『働き方改革』を強力に後押しするものと確信している」(西川社長)

 

「アポジー・ドライブ オートパイロット」は、クラウド型ファイルストレージサービス「アポジー・ドライブ」の拡張機能。繰り返しや単純作業をシステムに置き換え、入稿から出力までの作業を自動化するツールだ。入稿されたファイルの様々な情報を読み取り、ルールにあわせて自動振り分けやデータチェック、さらには、カスタマイズ可能な様々なレポートを作成することもできる。

 一方「エキスパート・ローダー」は、CTP用パレットローディングシステム。1200枚積みのパレットからCTPプレートを直接ロードするため、今まで頻繁に複数名で行っていたプレート梱包の開梱・装填の作業頻度を大幅に削減、長時間のCTP無人運転を実現するものだ。カセット(最大2段、それぞれに100枚搭載可能)追加による異なるプレートサイズへの対応や、拡張パレットユニットの追加により、2種のパレットを同時に装填可能。CTPプレートを最大2400枚搭載できる。給版スピードは70版/時。

 

働く価値を変えていく

労働力不足や採用難、スキル低下といった問題に対し、IT投資による生産効率向上を「働き方改革」のエンジンとして機能させるニシカワグループ。そこで今回、西川代表に一連の設備投資の背景や効果、「働き方改革」に向けた取り組みなどについて話を聞いた。

 

非効率な工程は「営業」

「働き方改革」の実践においては、経営者の「思い」ほど、社員は受け入れてくれていないのが実状かも知れない。とくに労働時間の短縮という部分では「休みたくない」「休めない」というのが社員の正直なところ。時短、直行直帰を推進してもなかなか応じてくれない。

 「働き方改革によって経営者はリスクを強いられる」という話をよく耳にするが、私としては「ウエルカム」だ。「働き方改革=生産効率向上」という視点で考えると、法律によって強制的にやらざるを得ない状況になるのは好ましい。「やってもらわないと困る」ということである。

 なかでもとくに非効率な工程が「営業」である。印刷通販では、営業コストがゼロでも、あれだけの印刷物を受注できる時代にも関わらず、我々の営業は多くの人件費、さらには残業代までかけて薄利の印刷物を取りに行く。これが本当に会社のためになるのか。印刷の対面営業には限界を感じている。

 

2016年の「アポジー・クラウド」導入によって、ワークフローそのものが変わり、社内に組織改革をもたらした。

 24時間体制だった刷版課を廃止し、業務部門に統合。同部門を24時間体制とすることで、営業からの突発的な指示や生産現場のトラブルなどにも業務部門が指示対応できるようになった。これは、お客様からの問い合わせ先としても機能し、社内の循環効率が高まっている。

 印刷物製造における付加価値は低下している。そこに費やす労力、コスト、経営資源はなるべく使わない方向にいかないとコスト競争で潰されてしまう。その挑戦を続けざるを得ない。「働き方改革」はウエルカムである。

 

クリエイティブの部署をリノベーション

 印刷会社の「働き方改革」として、「アポジー・クラウド」と「アポジー・ドライブ」の組み合わせは、ひとつの答えになる。

 最近当社では女性の雇用が多く、とくにクリエイティブ部門ではおよそ3割が女性となっている。しかし、出産などでやむを得ず休職を余儀なくされる女性も多い。そこで「アポジー・クラウド」と「アポジー・ドライブ」を組み合わせることでテレワークの環境を整備した。

「アポジー・ドライブ」を介してデータをやり取りしながら「アポジー・クラウド」へ渡して、校正出力、あるいは印刷まで繋げていくということが現実的にできる。現在のところ、まだ採用者はゼロだが、CGの関連会社に勤務する女性が「通勤に時間が掛かりすぎる」という理由で、グループ第1号のテレワークが間もなく始まる予定である。

 また、「アポジー・ドライブ」を介してお客様とやり取りすることで、「アポジー・クラウド」の機能を活用した「働き方改革」に繋がる新しいコミュニケーションが生まれるのではと期待している。

 現在の採用難、人手不足といった問題は危機迫る状況。とくに、クリエイティブ部門は、デザイン力や発想力、ディレクション能力などが求められ、それらを発揮しやすい環境がなければ人材は確保できない。そこで当社では、テレワークという仕組みに加え、環境づくりに注力している。

 

 

 3年前にクリエイティブの部署をすべてリノベーション。印刷機1台くらいの投資を行った。これは、DTPの付加価値が低下する一方で、逆にそれを補って余りある彼らのクリエイティブ能力を最大限に引き出すための環境づくりである。

 一方、営業にはアポジー・クラウド、アポジー・ドライブ、MIS、さらにリモートデスクトップの環境を提供しているが、「何時間も掛けて会社にもどってくる」、それが自分たちの仕事だと思っている部分がある。この活用を徹底することで「働き方改革」はかなり進むはずである。 

 

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ただ、クライアント側も若返りし、その業界のIT化が進展するのにともない、印刷営業に求めるものが変わってきている。そこにミスマッチが生じ、いずれ印刷営業の居場所はなくなってしまう。非常に極端な話ではあるが、営業には「絶対そういう時代が来る」という危機感を伝えている。

また、今後入社してくる新人営業については「印刷営業」から解放してあげたいと考えている。CGやWeb、ホログラムなど、研修の2〜3ヵ月の間にニシカワグループの仕事を見回し、「何の営業をしたいか」を見定めるというのもいいだろう。2〜3年経っても、当初の目の輝きが失われないような営業を育てたい。

 

3年前にリノベーションしたクリエイティブ部門 

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 私は決して「人が要らない」と言っているわけではない。「人あっての会社」である。その社員たちに別のスキルを身につけてほしいということ。「働き方改革」によって生まれた余剰時間は、自己啓発に当てて欲しい。そのための通信教育制度もある。

 昨年は、ニシカワの社員全員が1年間の教育プログラムを受けた。基礎教育、職種別教育、マネージメント教育に分かれたそれぞれのカリキュラムを等級に応じて受けるというもの。これは、当社の人事評価ともリンクさせる。社会人としての一般常識はもちろん、会社における自分の評価を高めるためのものとして積極的な参加が見られた。今後も継続して実施していく考えである。

 

求められるスキルが変わる

 アグフアのソリューションを導入していくと、省人化・生産効率向上に繋がり、ひいては自ずと「働き方改革」に繋がる。労働力不足が叫ばれる中、1人当たりの付加価値額をどれだけ高められるかが経営の鍵になる。ならば、ITなどに投資することで生産効率向上を目指すのが最も現実的ではないだろうか。

 そして、人のスキルに左右されない生産体制をどこまで構築できるかである。「印刷物は工業製品」と考えた時、人に求められるスキルは変わってくる。職人はいらないわけだ。そこに求められるのは挑戦意欲だと思う。繰り返すが、人が不要になるということではない。働く価値観を変えていくということ。そうでなければ会社は生き残れない。「働き方改革」はその価値観を変えていくことから始まるようにも思う。

 そして当社は、自社より設備が豊富で、低コストの印刷会社が多数ある中で、それらと戦うつもりはない。つまり、いままで戦ってきた「印刷」というフィールドそのものを変えたいと思っている。

当社は2022年に70周年を迎える。2020年の東京オリンピック・パラリンピックが終わると、日本経済は転換期を迎える。それは決して良い方向ではないだろう。その時に今と変わらぬ印刷会社だったら生き残れないと考える。そこで、70周年に向けて中期経営計画を策定、従業員がそれを理解し、自らがその達成に向けて変わっていけるような環境づくりをはじめたところである。その中期経営計画では、現在売上の8割を占める印刷事業の比率を6割に下げると計画。ただし、全体の売上を伸ばすことで印刷事業の売上自体は横ばいを計画している。つまり、「伸ばさなくていいから維持しなさい」ということ。それだけ市場はシュリンクしている。今後、Webやシステム、CG、サインディスプレイなど、新しい事業の柱をいくつ作れるか。そこに人材を含めた経営資源を注ぎ込んでいきたい。そのためにも、当社にとって「働き方改革」は必要不可欠なものになる。

 

会社紹介

 株式会社ニシカワ

 代表取締役社長 西川 誠一

 設立   1952年3月(創業1948年9月)

 資本金  1億円

 営業品目 商業用印刷物を主体とした情報メディア全般の企画立案、制作

 従業員数 127名(2017年9月30日現在)

 URLは<こちら>

 

 

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