Web to Printで全国の情報誌を印刷
―顧客と印刷会社の双方で間接工数が削減―
月刊プリンターズサークル 2008 年12月号掲載
■ 全国のタウン誌を受注する昭栄印刷
昭栄印刷株式会社(坂井正社長、新潟県新発田市)の顧客はタウン誌を発刊している全国の出版社である。 ある県に本社と数カ所に拠点を持っているタウン誌の出版社がある。各拠点の編集スタッフは本社に送った原稿の校正確認と直し作業のために、印刷会社から校正が送られてきた時に本社に集合して校正作業を行っていた。しかし、昭栄印刷が新らたに導入したWeb to Print システムである:APOGEE Portalを利用するようになってから、編集長はスタッフに「校正のために本社に来なくてもよい」「校正はWebポータルで行うこと」と宣言した。各拠点でインターネットからダウンロードしたPDFを校正紙としてプリントアウトして校正、修正すれば済むのである。時間との競争が強いられるタウン誌の出版スタッフにとっては有り難い限りである。別の出版社では150ページの情報誌を編集10人、制作10人の計20人で発行している。従来は締め切り近くになっても、どのページの進行が遅れているのか把握しにくく、昭栄印刷の現場では入稿するまで予定が組めない状況にあった。しかし:APOGEE Portalによって状況が一変した。顧客と昭栄印刷の関係者全員が、Webでどこからでも編集制作の進行がひと目で分かるようになった。これによって、従来のように校了予定日から2~3日遅れて入稿しても現場が混乱するようなことが解消してきた。 |
坂井 正 社長
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■ :APOGEE PortalによるWeb to Printの効果
同時に昭栄印刷側では最終的に送られてきた校了ページが、CTP出力用へ回り、次々にRIPと自動面付けが行われる。また、その状況もWeb画面で確認できる。
昭栄印刷は全国の出版社が顧客である。それぞれの編集部門などでは紙面データをMacで作成しているが、この原稿を営業が受け取りに行ったり、宅配での送付やFTPサーバに入稿してくる。ところが、顧客と昭栄印刷ではDTP環境が異なるので、オペレーターはデータが作られたアプリケーションのバージョン確認、フォント・画像が揃っているかなどデータを確認して、文字化けや画像の抜けなどのトラブルが起こらないようにしている。データチェックが終わるとプリンタで校正紙を出力したり本機校正したものを顧客に届けて校正してもらっていた。修正や差し替えなどの直しがあり再度校正を見たいとなると、データ受け取り、校正出力、校正紙を届けるということが繰り返される。現実には営業マンが顧客の指定した時間に原稿を受け取りに行ってもデータが半分しかできていないで、再度後送分を受け取りに行くこともあり、顧客の編集スタッフも時間に追われてデータを作成している状況であった。制作データそのものはインターネットやFTPでも受け取れるので早いが、顧客に校正紙の出力や営業マンが校正紙を届けるなど人や物が動くところの間接コストが増大してしまうのが悩みであった。これを大きく解消したのが、:APOGEE Portalである。 |
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■ :APOGEE Portalの操作は簡単
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顧客は、実際にCTPを出力するRIPで作成されたPDFから校正紙を出力するOne RIP環境が利用できて、顧客に設置されたカラープリンタは昭栄印刷によってカラーマネジメントされているので、きちんと色校正も行え、信頼性の高い校正紙を得ることができる。つまり、従来は顧客との間にある営業や営業車が:APOGEE Portalになる。もともと設備されているRIPやCTPはそのままで、新たに導入したのは:APOGEE Portalポータルだけである。昭栄印刷のスタッフが顧客のところに最初に提案しに行くと、製作現場は初め何をやらされるのかと不安そうに「難しいですか?」と聞かれると言う。しかし15分ほどで終わるデモを見ると、拍子抜けするほど簡単であること、自分たちのペースできるというメリットを感じてもらえる。また、印刷は8色両面オフセット機や協力会社のオフ輪で印刷されるが、FMに比べて特別な技術が不要な高精細スクリーニングの:Sublimaも積極的に使用しており、高い評価を得ている。同社では6月後半からの実稼働で、既に情報出版2社4誌で運用されており、さらに複数の顧客に利用を提案中である。 |