TOP > インタビュー・事例紹介 > アズーラ導入事例 > 株式会社共立アイコム_2019.5

株式会社共立アイコム

「見える化」ベースの多角的「働き方改革」

エキスパート・ローダー導入 64時間/年の版装填時間短縮達成

印刷ジャーナル 2019年5月15日号 特集「働き方改革」実現に向けた生産性向上ソリューション 掲載


 

「想像以上を創造する」−−「見える化」をベースとした多角的な「働き方改革」を実践する(株)共立アイコム(本社/静岡県藤枝市高柳1−17−23、小林武治社長)は今年3月、一度に1200版を搭載できるアグフアの自動化CTPパレットローディングシステム「エキスパート・ローダー」を導入した。狙いは「刷版装填作業時間の短縮」と「オペレーターの作業負荷軽減」。その効果として、年間64時間の作業時間短縮を達成するとともに、女性を含む1・5名のCTP人員で繁忙期を乗り切っている。

 

「働き方改革アワード」など3つの賞に輝く

 小林社長

 

 

 半世紀以上にわたり、印刷媒体を中心とした顧客の「販促活動」「広報活動」「業務改善活動」を支えてきた共立アイコムだが、近年はニーズの多様化にともない急速に進む市場変化に対し、ICTやセールスプロモーション、メディアサービスといった分野にその守備範囲を拡大。顧客が保有する情報資産を紙媒体だけではなく、「最適な伝達手段」によって発信する「情報価値創造業」を標榜することで、その企業価値を高めている。

そんな同社でも、製造業における「人手不足」が深刻化する中、今年4月から法的対応も迫られる「働き方改革」への取り組みが避けては通れない経営課題として浮上している。同社では、これら社会情勢の大きな波として押し寄せる課題の解決にいち早く着手し、業界でも「見える化」をベースとした多角的な「働き方改革」実践企業として知られる存在だ。その先進的な取り組みが評価され、昨年から今年にかけて「働き方改革アワード ユニークな取組奨励部門賞」「静岡県 労務管理優良事業所褒賞」「『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞審査委員会特別賞」という3つの賞を受賞している。

 「社長がやりたくない仕事を社員にさせるということはあり得ない」というのは小林社長の知人である若き経営者の言葉。小林社長は、「ここに働き方改革に対するひとつの考え方がある」と語る。実際、パラレルな状態で作業ができる昇降式の作業台や荷崩れ防止用のラップを自動で巻いてくれるストレッチフィルム包装機など、作業負荷を軽減する省力化機器への投資は数知れず、「エキスパート・ローダー」導入もそのひとつである。

 また、「ものが言える風通しの良い企業風土」も働き方改革の実践を促す大きな要素だと小林社長は強調する。「腑に落ちないと人は動かない。『なぜ、これをしないといけないのか』という理由をしっかりと説明し、その必然性を従業員が理解、そして共有できなければ事は進まない。そのため当社では、社員から意見や質問、提案を受け付け、それに私が回答するという試みを実践している」(小林社長)

 

オフィスのワンフロア化で

コミュニケーション促進

 

 

 

同社は昨年5月、道路を隔てた旧本社から移転し、現在は工場の2階部分をワンフロア化してオフィス機能を集約。同社の試算では、旧本社と工場の往来に費やされていた時間は全社員で年間7000時間にものぼり、まずこの無駄な時間を排除した。

 しかし、本来の狙いはワンフロア化による「コミュニケーションの促進」にあったようだ。「社員のほぼ全員と毎日顔を合わせ、挨拶できるようになった。これは非常に大事なことである」(小林社長)

 

さらに、同社が実施したストレスチェックによると、経営者から遠い社員ほどストレス度が高いことが分かった。「社長に近いほど叱られる回数は多いが、顔が見えている分、その真意が伝わりやすくストレスに感じない」ということだろう。そのような分析のもと、ゴールデンウィーク明けから静岡支店の営業とICTグループのスタッフを本社に移管。ここにも「コミュニケーション」という「働き方改革」の本質が垣間見える。 

  

そのほかにも様々な取り組みがある。変形労働時間制「月42時間」「月6回まで」の時間外に対する意識の定着を目的に、残業時間が月42時間を越えた従業員のデスクのパソコンにイエローカードを付与。社員全員からも一目瞭然となることで長時間労働に対する意識を高めている。

 さらに、オフィスや現場の随所に設置されたモニターでジョブの進捗を「見える化」。柔軟で効率的なスケジューリングによるムダを排除するとともに、不採算ジョブも「見える化」することで、より迅速な対応、改善に繋げている。

 「資材の値上げが相次ぐ中、見える化によって不採算な仕事に対して迅速に改善する、いわゆる『選択と集中』も働き方改革である」(小林社長)   

 

 

        

 

「教育」と「多職能化」で労働生産性向上へ

大石取締役

 
 

現場の働き方改革は「=労働生産性」である。「まず、人の成長なくして働き方改革の実現は難しい」と語るのは取締役生産管理部長の大石修氏。その「教育」という部分で同社の礎となっているのが現像レスプレート「アズーラ」による速乾印刷の取り組みである。速乾印刷のベースは機械のメンテナンス。当社の教育もそこから始まる。「優秀なオペレータほど、常に機械をベストな状態に保守管理し、問題箇所は把握の上でオペレートしている。計画修理も上長に相談し対処している。そこでオペレータの技量が測られる」(大石部長)

 共立アイコムは2014年、取り組み開始からわずか3か月で速乾印刷を確立し、生産性向上だけでなく、原材料や消耗品等のコスト削減に大きな成果を上げた。さらに、この経験を活かした速乾印刷のコンサルティング事業もも手掛け、「教えることで自ら磨く」という経験が教育面でも大きな財産となっており、教育のスピードを速めている。

 労働生産性向上を目指したもうひとつの取り組みは「多職能化」である。同社ではここ2~3年で、部署間を跨いだ多職能化が進んだ。これは現場ベースの取り組みとして進められているもので、ここでもアズーラ速乾印刷で学んだ経験、手法が活かされている。

      

「当社の働き方改革は、物理的な設備、仕組み、意識など、多角的な視点から実践され、全体へと波及させることでその効果を高めているところに強みがある」(大石部長)

 一方、現場では毎月「気付き改善レポート」というものを作成している。これは「問題・課題の抽出」「事故未然防止」「見える化」「業務改善」など、多岐にわたる項目に対し、現場の従業員がそれぞれの「気付き」を報告するというもの。これらはポイント制で人事考課にも繋げている。これまでの9ヵ月で報告件数は改善を含め710件。そのうちの7割が自責に関することだという。「現場もまだまだやるべきことはある。7月以降、生産効率や労働安全といった視点を優先的に改善していく」(大石部長)

 

 

部分最適化の積み重ねで全体最適化へ

 今回、同社が採用したアグフアの「エキスパート・ローダー」は、一度に1200版を搭載できる自動化CTPパレットローディングシステム。今まで頻繁に複数名で行っていたプレート梱包の開梱・装填の作業を不要とし、長時間のCTP無人運転を実現するものだ。同社の狙いも、「装填作業時間短縮」「オペレーターの作業負荷軽減」にある。

 きっかけとなったのは、CTP部門での女性の採用。そこで問題になったのは版の装填作業だった。1梱包50版でおよそ30kgにもなる版の装填作業。もともと男性2名で行っていたもので、やはり男女では無理だった。 

 

 刷版の装填作業は1ヵ月あたり30回から3回へ(手前がエキスパート・ローダー)

 

 カセットへの装填作業が月30回以上行っていたがエキスパート・ローダーの採用により月3回の装填作業で済むことになる。時間に換算すると、22日稼働として年間70時間が6時間になり、年間64時間の作業時間削減に繋がることになる。2000円/時で計算しても年間12万8000円のコスト削減効果に繋がるわけだ。

 また、同社におけるCTP部門の業務内容は、面付け、検版、出力、運搬、POD出力の5つ。とくに運搬は、1km離れた輪転工場に車で1日平均6〜7回は往復するという。そんな中で今年、検版担当者が退職。1名減の2名体制のまま3月の繁忙期を迎えることになっていた。CTP作業の女性は、午前中はCTP、午後は検版を担当。したがって午後は1名でCTP出力に対応しなければならなかった。その繁忙期に差し掛かった3月初旬にエキスパート・ローダーが設置され、直ちに稼働。これが功を奏し、この人員で繁忙期を乗り切った。

 「部分最適化によって前後の工程も変わってくる。つまり、部分最適化を積み重ねることで全体最適化になることが分かった」と大石部長。同社の労働生産性向上を主とした「働き方改革」への取り組みは、さらにブラッシュアップされていくことになる。 

 

  導入実績   btn_product.jpg   btn_top.jpg