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    株式会社共進ペイパー&パッケージ

    共進ペイパー&パッケージ、「オフセット印刷の逆襲」×「環境対応」資材変更のストレス回避〜現場は「視認性」、経営は「ヤレ紙削減」高耐刷性ガム処理プレート「アダマス」採用事例(2022.6.25 印刷ジャーナル掲載)

    「パッケージで世の中のハピネスを生み出す」─パッケージ印刷の(株)共進ペイパー&パッケージ(本社/神戸市中央区、鍛治川和広社長)は、オフセット印刷事業における大きな方針転換のタイミングで、「環境対応」を目的にアグフアの高耐刷性ガム処理プレート「Adamas(アダマス)」を採用。年内にも東西の生産拠点で全面運用を目指す考えだ。そこで今回、印刷紙器事業部長の田河内誓一郎取締役にその経緯やパッケージ印刷におけるプレート選定の視点などについて聞いた。

    田河内 取締役

    プライムファイア106で目指した「夢」の継承

    同社は、印刷・紙器、段ボールの分野で、「『紙』にまつわるすべてのことをサービスと捉える」という企業コンセプトに基づいて事業領域を拡大してきたパッケージ印刷会社。ここ数年では、小ロットパッケージの需要に対し、デジタル印刷技術をベースにした印刷通販サイトを次々と立ち上げ、「ハコプレ」や「ポップレ」など、ニーズを細分化したブランド展開で右肩上がりの成長を遂げている。現在、印刷・紙器、段ボール、そしてこれら印刷通販事業の3本柱で事業を構成し、昨年は過去最高益を達成している。

    需要の動向について同社・印刷紙器事業部長の田河内誓一郎取締役は「印刷・紙器、ダンボールは、やはりエッセンシャルな分野。コロナ禍において人流に付随するパッケージ需要が大きなダメージを受けた一方で、ECやテイクアウト、レトルト食品など、『巣ごもり』にともなう需要がそれを補う形で増加。加えてハコプレ事業では、経済のリオープニングに関連する需要を取り込んだ。今後は、インバウンドをはじめとした人流の増加で、パッケージの需要はさらに回復していく」との見方を示している。

    コロナ禍をきっかけに同社が事業全体を改めて見直す中で、最優先課題と位置付けたのが「環境対応」だ。「パッケージで世の中のハピネスを生み出す」という経営ビジョンに沿ったSDGsへの対応を加速させる中で、生産工程における環境負荷低減への取り組みとして「プレートの無処理化」がひとつの焦点となった。

    一方同社は、右肩上がりの成長を遂げる小ロットパッケージ通販サービス「ハコプレ」のさらなる事業強化に向けて2019年11月、ハイデルベルグ社のB1インクジェット印刷機「プライムファイア106」国内1号機を導入したことで知られる。しかしその翌年の2020年3月、ハイデルベルグ社からプライムファイア106の生産中止が発表された。これを受けて「ハコプレ事業20億円の夢をのせたラストピース」として導入されたプライムファイア106で目指した「夢」の継承とビジネスを補完する生産システムの選定を開始。結果、7色コーター付きオフセット印刷機「スピードマスターXL106」を2021年12月に導入している。

    この決断によって、同社のオフセット印刷事業では、従来のコンベンショナルな仕事と印刷通販の小ロット対応の仕事という、異なるコンセプトの生産体制を併走させる必要が生じたため、プレートの選定においても「プライムファイアを補完する」という新たな視点が加えられた。

    7色コーター付き「スピードマスターXL106」

    「ガム洗浄タイプの視認性は別格」

    当初は、機上現像タイプの完全無処理プレートを前提に選定を急いだ同社だが、オフセット印刷における事業モデルが大きく変わろうとする中で、印刷オペレータの負担やストレスを極力低減できるプレートという条件が重要視された。

    「これまでのオフセット印刷事業で長年技術を磨いてきたオペレータにとって資材変更は相当なストレス。なかでも現場の作業性を大きく左右するプレートの視認性・検版性は、選定条件として大きな比重を占めた」(田河内取締役)

    そこで「環境プレート」というカテゴリーの中で唯一ガム洗浄タイプを持つアグフアも選択肢に加わった。それが、日本で今年リリースされた高耐刷性ガム処理プレート「アダマス」だ。

    「機上現像タイプのプレートも普及にともない急激に進化を遂げ、視認性も飛躍的に改善しているが、ガム洗浄タイプの視認性は別格だった。この部分については、まさにストレスフリーの版である」(田河内取締役)

    「アダマス」は、アルミベースの上にフォトポリマー層+保護層の2層構造になっており、新開発の高感度サーマルフォトポリマー技術の採用によって、高生産性・高耐刷・UV対応を実現したプレート。ガム洗浄という工程はあるが、使用するガム液のpHは中性で、強アルカリ性の現像液は使用しないことから同社が当初目的とした「環境対応」はクリアできると判断したという。

    「最終的には『完全無処理』を目指すが、ビジネスにおいて大きく舵を切るタイミングで、『環境対応』と『オペレータの負担、ストレス排除』を両立できるアダマスは最有力候補に浮上した」(田河内取締役)

    一方、経営面からはヤレ紙(調整紙)の削減もプレート選定のポイントになった。「小ロットを効率良く運用する」という新たなビジネスモデルを前にして、経営側がプレートに求めたのは「色出しの速さによる効率化」と「コスト面でのヤレ紙削減」だった。

    「紙器パッケージ印刷の場合、原反1枚あたりのコストが高いため、調整紙を再利用することが多い。しかし、機上現像は、非画線部分の感光層をインクのタックで剝がし取り、剝がし取られた感光層はインキの中に含まれた状態でブランケットに転写され、紙に転写される。紙を通していくたびに、感光層の剥離が進み、機上現像が完了するというメカニズムのため、一度使った調整紙を再利用すると感光層の剥離が不十分で、剝がし取られた感光層が印刷機に入り込んでしまう危険性もある」(田河内取締役)

    そして最後の選定ポイントは耐刷性だ。従来の仕事では5万枚以上の仕事もあることから、その検証も必須だった。関西にある2台の印刷機も含めてアダマスの検証を行った結果、スミベタのハードな条件でも4万枚以上の耐刷を確認。最終的にアダマスの採用が決まった。

    東西の工場でアダマス全面運用を目指す

    7色マルチカラーによる脱特色パッケージ製造の実現へ

    今年2〜3月にかけて本格運用が始まったアダマス。プライムファイアからの移行ジョブに加え、他のデジタル印刷機からの置き換えも並行して進めていることから、版数は飛躍的に増加している。この点についても田河内取締役は、新規導入したスープラセッターの38版/時というスペックに応えるアダマスの高感度フォトポリマー技術を評価している。

    また、小ロットジョブの効率化を追求した結果、現在、B1サイズにおけるオフセット印刷とデジタル印刷の分岐点は200枚まで減少している。当然プレート交換の頻度も高まることから耐キズ性にも着目。印刷機で自動化されているものの、ガム液によるプレートの版面保護により、それまであまり意識してこなかったプレートのハンドリング面でオペレータの負担軽減に繋がっているようだ。

    今後は、コンセプトの異なる2つのオフセット印刷需要に対する生産工程の並行運用・整備が課題だとする田河内取締役。「当社のプリプレス工程は、外部に委託している平台校正の表現を再現することに軸足をおいていたが、今後はJapanColorやG7などの標準印刷という、相反する運用を並行して進めていく必要がある。また営業側の意識や感覚も変えていかなければならない。いま最もここが難しい課題である」

    一方、同社では「7色マルチカラーによる脱特色パッケージ製造の実現」という目標を掲げ、特色のプロセス化によるパッケージ印刷の未来を標榜している。

    「網点の精度が求められるマルチカラー印刷においてもアダマスの網点再現性に期待している。特色の小ロットにおいてそのプロセス化は、廃棄するインキの低減に繋がり、サステナブルな印刷となる。適正価格で特色表現を提供するという面でもメリットがある。いずれはパッケージ業界のスタンダードにしたい」(田河内取締役)

    プライムファイアからスピードマスターXL106へ、まさに「オフセット印刷の逆襲」を開始した共進ペイパー&パッケージ。今後は、さらにデジタルのジョブを如何にストレスなくオフセット印刷で吸い上げるかにチャレンジし、年内にも東西の生産拠点に設備する4台すべての印刷機でアダマスの全面運用を目指す考えだ。

    「究極はデジタルとオフセットのギャップを埋めていくこと。一朝一夕とはいかないが、スピード感を持って取り組んでいきたい。その過程で、ユーザーの課題解決と真剣に向き合ってくれるパートナーとしてアグフアに期待している」(田河内取締役)

    「ハコプレ」の制作サンプル

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