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株式会社歩プロセス

絶対品質企業の選択

製版出身のプロ集団として

 

印刷新報 2012年10月18日号掲載 

 

:Azura TS、:Avalon N8-60 導入

 

 製版会社として培った技術で30年以上にわたり最高品質の印刷物を届ける歩プロセス(室原秀春社長、東京都新宿)は、今年6月に日本アグフア・ゲバルトの現像レスサーマルCTPプレート「:Azura TS(アズーラTS)」と四六全判サーマルCTPセッター「:Avalon N8-60(アバロンN8―60)」を導入。環境対応に加え、より安定した品質がプロセスワークのプロフェッショナル集団のさらなる強みとして貢献している。

 

◆ 製版から印刷へ


 歩プロセスは昭和53年に創業。平成12年には事業の幅を拡げるため印刷事業部を新設した。その後、製版と印刷で分かれていた営業部門を一本化。すべての営業マンが製版から印刷までを熟知するようスキルを高め、平成14年に菊半裁4色機を導入した。

室原社長(左)と眞鍋常務

室原社長(左)と眞鍋常務

 

 

 室原社長は「CTPと印刷機のどちらを導入するか悩んでいたが、当時は色校正が大きなビジネスであり、本機校正を求められることが多かった。そこで、印刷機の採用を決めた。導入以降は、むしろ本機校正よりも印刷物の受注の方が増加してきた」と振り返る。仕事に関しては、印刷会社の下請けではなく、「品質にこだわり、アパレル関係などクオリティの高い仕事を追求している」(室原社長)と攻めの姿勢を貫いた。

 問題となる印刷機のオペレーターは、「デジタル化という流れの中、職人ではなく技術者を育てたい」という室原社長の想いから、印刷会社の経験者を採用するのではなく、社内から選抜し、一から立ち上げた。スタートして1年半ほど経過すると、他社が驚愕するほどの品質を実現していたという。同社では創業以来、一貫して品質にこだわっており、職人の経験と勘に頼らない徹底した数値管理を行っていたことが根底にある。
 しかし、自社での印刷は6年半で終わりを迎え、現在では印刷機を保有していない。抜群の品質で顧客から大きな信頼を得ていたが、リーマンショックによる景気低迷の影響で工場閉鎖という苦渋の決断を下した。室原社長は「会社として赤字はあってはならないことで、経営者として35年間で一度も出したことはない。解散は採算性を考えた結果」と当時の苦しみを語る。
現在は企画デザインからCTP出力までを自社で行い、仕事内容に合わせて10社の協力会社に印刷を依頼。製版会社ではなく、製版と印刷のスペシャリストを擁する総合印刷会社として事業を展開している。

   

◆現像レスが絶対条件


 歩プロセスが「アズーラTS」を導入したのは今年6月。環境負荷軽減が叫ばれる中、「この時代に現像工程は必要ない」という室原社長の考えとアグフアの提案が一致したかたちである。導入以前には、「アズーラTSのユーザー300社が本当に満足しているか」を考え、アズーラTSユーザーの工場見学に赴き、自身の目と耳でしっかりと見極めた。
品質に誇りを持つ同社にとって環境対応はもちろん、アルカリ現像処理が不要なため、安定した再現性が得られることもポイントであった。
眞鍋博之常務取締役は「現像処理ではどうしても変動があり、中間調で3~4%違うことがある。これは現像レスでは起きない」と指摘。「以前は自現機のローラーなど部品を交換するたびにプレートの網点パーセントが変わってしまった。アズーラTSであればその心配はない。現像液使用時と比べ、ガム洗浄のみで扱いも非常にラクになった」とも付け加える。

 導入された:Avalon N8-60

導入された:Avalon N8-60

   

 同社では、平均3500版/月の出力を行っており、多い月では5000版にも上る。それでも「アバロンN―8―60」の担当は昼夜で3名。そのうちの2名はDTP部門であるが、「Macだけ対応できても刷版出力を知らずして良い品質は維持できない」と室原社長が推し進める“多能工化”によりオペレーションを習得した。刷版出力後に協力会社に版を提供するため、目視でハッキリと検版が行えることは担当者も絶対条件だという。
 さらに、XMスクリーニング「:Sublima(スブリマ)」による240線の高精細印刷も積極的に取り組んでおり、年内には本格スタートする予定。「スブリマでの印刷を始めれば営業面で強みを発揮できる。また、アズーラTSとスブリマへの対応は、協力会社にとっても品質向上というメリットが生まれる」と室原社長は期待を込める。

 

◆ビジネスを支える核


超短納期、極小ロット化が進む現在、オフセットでの対応のほか、各メーカーからさまざまなデジタル印刷機が提案されている。歩プロセスでもデジタル印刷機の導入を視野に入れた事業展開を計画。小ロットの仕事を自社で行うべく研究を開始している。ただし、同社の求める品質とスピードを兼ね備えたマシンの登場は5年から7年は先と見ている。
このように現状に甘んじることのない挑戦は室原社長の信念であり、「アズーラTS」もそのひとつ。次なるステップを目指す同社にとってコアビジネスを支える重要な存在となっている。まさに「アグフアのアズーラTSは品質への誇りを一層高めてくれた。素晴らしいシステムを導入することができた」という室原社長の言葉がすべてを表している。