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原多印刷株式会社

「アズーラ速乾印刷」実践

狙いは「高次元の品質」「色は力」、全社員が「アーティスト」

印刷ジャーナル 2014年12月5日号掲載 

 

「色は力」−−徹底した数値管理による印刷の標準化で知られる原多印刷(株)(大阪市北区長柄西1−7−43、原多鈴乃社長)は今年4月、日本アグフア・ゲバルト(株)(松石浩行社長)が提唱する現像レスプレート「アズーラ」の浅くて細かな砂目構造を活かした「速乾印刷」に着手。極限まで水を絞ることで、大阪屈指の「原多品質」は、さらに高次元へと引き上げられている。

 

harata_harata2.jpg 原多社長

 
同社の創業は昭和33年。文字物を中心とした印刷会社「原多印刷社」として産声をあげた同社だが、平成13年の菊半裁両面8色機導入をきっかけに企業ドメインを「カラー印刷」へとシフト。以来、積極的な「教育」への投資を背景に、徹底した数値管理による印刷の標準化と、それに基づく高品位印刷へのアプローチで、現在では、「色のハラタ、品質のHARATA」として知られる。  

 そんな同社が速乾印刷に着手したのが今年4月。これまでも印刷品質の最も大きな変動要因とされる「水」を極限まで絞った印刷に挑戦してきた同社が、さらに高次元の印刷品質を追求する手段としてアグフアの現像レスプレート「アズーラ」を使った速乾印刷の実践を決めたわけだ。

 「版を変える」。当然多くの不安が現場を駆け巡る。しかし、綿密な機械メンテナンスをベースにした印刷の標準化を実践する同社では、その不安を払拭するのに、そう時間は掛からなかった。

 当時について生産部門を統括する上村浩二総監督は、「『アズーラは水幅が狭いため、汚れやすく、難しい版』という噂は以前から耳にしていた。しかし実際テストしてみると当社では何ら問題なく刷れた。アズーラ採用の決め手となったのは、そこで手応えを感じたオペレータからの『これでやりたい』という声だった」と振り返る。

 これまでもあらゆる面から印刷品質向上に向けて限界ギリギリまでの施策を講じてきたという同社。上村氏は、「そのひとつの壁を突破できる可能性を秘めた『水を絞れるアズーラ』。挑戦しない手はなかった」とも。ここに、「新しいことに常に挑戦する」という「原多イズム」を垣間見ることができる。結果、「アズーラによる速乾印刷」は、大阪屈指の「原多品質」をさらに高次元へと引き上げることになった。

 原多社長は、「印刷現場では『苦難を乗り越えた』という感はまったくない。むしろ、製版工程の人材が輝きを増してきたように感じている。アズーラの採用は、当社にとって『良いこと尽くめ』。社員の反応や顔、全体の空気に表れている。アグフアとの出会いに感謝している」とし、会社全体の「士気高揚」といった副産物を生んだことも強調する。

商業ベースでの運用は今年5月から。現在では、菊半裁両面8色機1台と菊全判両面8色印刷機2台、同社が保有するすべての印刷機で実施されている。 「現場は常に何らかの疑問を抱えながら仕事をしている。それを週単位で解決していくことで、力となり技術となっている」(上村氏)

 

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上村総監督

 

 ベタ濃度、ドットゲイン、Lab、70%の網点濃度のすべてを許容範囲に入れていく。これが同社の標準化である。そのためには、印刷機を整備された状態で維持することが絶対条件となる。つまり同社では「色が狂う=印刷機状態の異変」という考え方になる。月に1回、メンテ日を設け、この日は印刷機を一切稼動させず、3台すべてを一斉にメンテする。また、24時間稼動・2交代制の同社では、その受け渡し時に機械状況の共有を図ることで、的確で迅速なメンテを実施している。

 

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自動給版カセット搭載のアバロンN8

 

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24時間体制の印刷現場

印刷機をリセットし、現像レスプレート「アズーラ」のフラットサブストレートと呼ばれる、浅くて細かな砂目構造を活かして水を絞ることで実現できる速乾印刷。その効果として、品質向上、納期短縮、コスト削減、環境対応などが言われている。原多印刷が最も重点を置いた「品質向上」では、「網点がシャープになった」とクライアントからも評価の声があがっている。さらにそれ以外の効果も明らかに表れている。

 速乾効果による納期短縮では、後加工適性を早める効果が大きい。先日行われた内覧会でのヴァンヌーボへの速乾印刷実演では、刷了から30分後に断裁するという工程を披露した。通常ならば丸1日乾燥させたいところだろう。「使用しているインキは、決して速乾性のものでなく、通常の両面機用インキ。片面機用と比べて若干乾きにくい両面機用インキでもその効果は出ている」(上村氏)

 一方、コスト面では、インキ量、パウダー量、損紙の低減がある。同社では10%程度のインキ量削減を確認。パウダー量においても「両面機なのでパウダー使用量は多いはず。そこで究極までパウダーを絞れることによるコストメリットは大きい」(上村氏)という。

 さらに損紙は、色見本なしの標準印刷ならば100から多くても200枚程度。これは水を絞っている分、印刷機が素直に反応している証拠で、色出しも早くなり、安定する。「小ロット化が進む中、この効果もさらに期待できる」(上村氏)

 

 「モチベーションを向上させ、生きがいを見出せる環境を与える。これが経営者のつとめ」と語る原多社長。今回の速乾印刷への挑戦もそんな想いが形となったものだ。

 「全社員はひとりひとりが『アーティスト』。我々は色によって社会貢献している。色の表現は芸術であり、色は全社員ひとりひとりのことでもある」(原多社長)

 「色は力」。同社が今年のテーマとして掲げたこの言葉は、速乾印刷の実践よって、より説得力を増していくことになる。

 

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