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研友社印刷株式会社

印刷の時に水を絞る

「:Azura TS」油性インキで速乾印刷

2013年3月18日付 日本印刷新聞掲載 

 研友社印刷㈱(本社・埼玉県和光市白子3の35の9、新井修次社長)のホームページを開くと、まず「環境印刷宣言」という文字が目に飛び込む。地球にやさしい印刷会社のあり方について真剣に考える同社では、環境に負荷をかけない最新の設備と技術を積極的に導入するとともに、環境優良工場の証である「GPマーク」と環境保護印刷認証制度の最高ステータス「クリオネマークGOLDプラス」を取得し、日常の業務を通した地球環境保全のための活動を展開する。そんな同社では、CTPプレートにアグフア社製の現像レスプレート「アズーラTS」を採用。この「アズーラTS」は浅くて細かい砂目構造を持っており、それにより印刷時に水が絞ることができる。その特性を活用して、同社では昨年2月から、油性インキによる速乾印刷をスタートした。

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新井社長

 
   

 同社は社会保障や健康といったテーマを主にした出版社の㈱法研を親会社に持ち、昭和43年に法研の印刷部門として工場を設けたのがその成り立ち。売上の半分は親会社から、残りは独自に開拓することを基本姿勢として営業を展開。独自開拓した顧客も出版社が多く、取扱品目としては出版社の定期刊行物のほか、官公庁や健康保険組合などの機関誌、医療・教育関係の出版物が仕事のほとんどを占める。これらの仕事を、菊全判4色機、四六全判1/1色機、菊全判2/2色機、菊全判両面兼用2色機の4台で生産している。


 同社が「環境印刷宣言」を掲げたきっかけは、平成17年に刷版製作をアナログのPS版からCTP化し、現像レスプレートの「アズーラ」を採用したことに始まる。それまでの、アナログ版でかつ現像工程を要していた状況から劇的に環境負荷を低減させられたことから、この標語を掲げて環境への配慮をさらに加速させることにしたのだ。「元々、製版部門がなく、刷版部門しかない会社だった、CTP導入の効果は大きく、製版部門の外注費が圧縮でき、スピード面でも貢献してくれている。プレートの単価は多少上がったものの、現像液の購入・廃棄コストなどが不要な点も含めて考えると、この面でもメリットがある。現像工程を経ると、液の劣化などにより品質が安定しない。この1工程がないことが、製品の安定化につながるし、今になって振り返るとCTP初心者にとって扱いやすかったのだと思う」(同社・新井社長)
 同社が主として取り扱う製品が商業印刷物ではないため、取得した環境マークを付けて印刷する仕事は多くない。それでも、すべての仕事で「アズーラTS」を使い、環境マークの表示要件に応じた印刷方式を同社では標準としている。環境配慮型印刷による対外的効果だけを狙うわけではなく、常日頃から「環境印刷宣言」通りに取り組み、売上やアピールにつながらなくてもそれを継続することに価値を見出している。

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 綿貫常務

 

 

 ■ 砂目が浅くて細かく速乾印刷に最適な版

 

 同社が、油性インキによる速乾印刷を目指すスタートとなったのは、日本アグフア・ゲバルト㈱が開催したセミナーで新井社長がその旨の講演を聞いたことにさかのぼる。「のちに当社に速乾印刷のコンサルタントをしてくれた㈱東京テックプラスの加藤隆行社長の講演を聞き、水とインキを絞ることで速乾印刷ができるというその理論に共感した。当社が採用している“アズーラ”は、砂目が浅くて細かいので水を絞る速乾印刷に適しているということだった。この人に指導してもらえば油性インキによる速乾印刷が実現できると信じ、ディーラーの㈱ヤマトヤ商会に紹介してもらい、取り組むことにした」(新井社長)
 

 まず、指導を受ける前日に社員を集めて、「この速乾印刷は新しいやり方なので、今までのやり方や知識をゼロにして聞く」ということを確認。そして当日は、工場のすべての印刷機を止め、全員で指導を仰いだ。実際の指導では、平成8年に導入して17年間稼働してきた菊全判4色機を使用。全員で1日がかりでローラー洗浄などを徹底的に行い、印刷機の状態を新台時のようにリセット。そしてテスト刷りをしたところ、ベタ物の印刷物がデリバリー部に排出されてから約2分で触ることができ、社員全員が驚くとともに深く納得した。「その効果を目の当たりにして、ほかの印刷機でもやりたいという声があがり、ほかの印刷機ではそれぞれの機長が自発的にローラー洗浄などをして速乾印刷を行っている。最初に印刷機の状態をリセットするのは1日がかりだったが、それからは週1回20分程度、その状態を保つためのメンテナンスをするだけ。洗浄する箇所のポイント、洗浄するための材料など、教えてもらったことを忠実に実践するだけで、労力的にもコスト的にも負担はない」(同社・綿貫茂常務)

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皆川工場長

 

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四六全判CTP「アバロンN8」で「アズーラTS」を出力している

   

同社ではこれまで、納期に余裕がない仕事は24時間稼働している協力会社に外注し、比較的納期に余裕がある仕事を社内で行っていた。それが速乾印刷を手掛けるようになった今、外注量は約1/3に減少した。「乾燥時間が不要になったことも大きいが、印刷機の状態が良いので色や見当もすぐに合うことから生産効率が向上し、これまでは1日4-5ジョブしかできなかったものが8-10ジョブできるようになった。また、損紙の量も半減できている」(同社・皆川貢工場長)
 この速乾印刷を習得するための投資は安くはない。だが、投資回収率は極めて高いという。「そもそも“アズーラ”を使っていなかったら、この速乾印刷に取り組むことも、知ることもなかっただろう。砂目が浅くて細かい“アズーラ”の特性を活かした速乾印刷では、どんてん打ち返しですぐさま裏面印刷ができる。仮に1日2回で8版減ったとした場合、月に20-30万円のコスト削減も可能となる。それに加え、当社では外注費も大幅に減ったので、技術習得のための初期投資はあっという間に回収できた」(新井社長)
 同社では、印刷時に水を絞ることで網点がきれいになり、印刷品質も上がったという。今後は、さらに印刷品質の向上を推し進め、高精細スクリーニング「スブリマ」の標準印刷化、そしてJAPAN COLOR認証の取得も視野に入れている。「これからは、何らかの特徴を持った印刷をしていかなければ、生き残ることは難しい。
そこで、目指すべき1つの方向として、速乾印刷による品質向上と色安定性、“スブリマ”の活用による高精細化により、美しい印刷物・高級印刷物の開拓をしていきたい」と新井社長は、環境印刷の次に踏み出していく方角を見定めている。