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株式会社教文堂

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    株式会社教文堂

    アズーラTS採用で成果
    品質向上、コスト低減

    日本印刷新聞 2021年5月31日号掲載

    刷版製作工程において使用される現像液には大気汚染の原因物質の1つとされている揮発性有機化合物(VOC)が含まれていることから、現像液を使用せずに印刷することができる現像レスプレートが環境にやさしいものであることは広く認知されている。日本国内で現像レスプレートが発売され始めてから15年以上経った現在、環境にやさしいというだけでなく、使いやすさや印刷品質の向上、コスト低減などのメリットもあわせて享受できるようになった。㈱教文堂(本社・東京都新宿区中里町27、土屋毅社長)でも、アグフア社製の現像レスCTPプレート「アズーラTS」を10年以上前に採用し、環境対応を図るとともに、印刷品質向上および高精細印刷化による差別化・新規顧客獲得にも繋げている。

    昭和34年に創業した同社は、3台の菊全判印刷機を同一版サイズで揃え、特殊加工やスリップ以外のカバー・表紙・見返し・口絵・本文をすべて内製化し、医学書をはじめとした専門書の製作を得意としている。医学書は人間の身体の状態・違いをわかりやすく伝えるため、正確な色再現をもって写真や画像、図を掲載しなければならない。したがって、製版・印刷工程における不安定要素によって色再現がブレるとクレームに直結してしまう。「医学書という内容の特性上、写真の色再現について高い精度が求められるので、どうしても色に関するクレーム、刷り直しが多く発生していた。しっかりとしたカラーマネジメント体制を構築したかったもののそれができなかったのは、刷版上でのドットゲインをコントロールできなかったことにある。その問題をクリアしてカラー印刷の安定化・色ムラの撲滅を図るべく、現像という不安定要素がないことからデータに忠実な網点が再現できる、現像レスプレートの採用を考えた」と同社の水上勝一工場長は十余年前の状況を振り返る。

    とは言うものの、やはり最初は現像レスプレートの性能について懐疑的な部分もあったという。そこで、すでに現像レスプレートの「アズーラ」を活用している2社の印刷現場を訪問。なんの問題もなく印刷をしているところを確認し、自社でテストをすることにした。「2つのCTPラインを設けられるスペースの余裕はないので、もし“アズーラ”を採用するならば完全移行となる。そこで導入するにあたり、使用していた薬品・資機材、やり方をなにも変更することなく運用できることを条件としたが、問題が本当にないことにむしろ驚いた。テストでは少量しか印刷しないので終日通してできるのかという懸念もあったが、ほかの印刷会社で実運用できているのだから当社でもできるはずだという自信もあった」(水上工場長)

    「アズーラ」に切り替えたことで現像液を完全排除した環境にやさしい印刷工場になるとともに、毎週末に行っていた現像液の交換作業や自動現像機の洗浄作業も不要となった。印刷品質についても、「アズーラ」は水幅が狭いゆえに印刷時に湿し水量をしっかりと絞ることができるので、インキがそもそも持っている本来の性能を維持したまま紙に転写できると評価している。「当社では元々、湿し水の量を絞って印刷をしていたが、プレートを“アズーラ”に切り替えたことでよりいっそう湿し水量を絞ることができ、印刷後のインキセット乾燥がよりいっそう早くなった。また、刷り出し時の色合わせについても反応が良く、以前は500~600枚を要していた損紙が、200枚程に収まるようになっている。それに加え、ノンアルコール印刷も行っている」(水上工場長)

    土屋社長

    土屋社長

    水上工場長

    水上工場長

    同社では「アズーラ」への切り替えと同時に、これまではAM200線で印刷していたものを高精細XMスクリーニング「スブリマ」の240線での印刷に切り替えた。これに関しても印刷方法や資機材をなにも変更することはなく、写真などの再現が滑らかになりデザイナーが求める印刷品質を表現できるようになった。「アズーラ」採用にあたって目論んでいたカラー印刷の安定化によるクレームや刷り直し削減については、その期待を大きく超え、直近5年程にわたってゼロになった。さらには、印刷品質に対して強いこだわりを持つ顧客から、その品質の高さを理解されて新規営業開拓にも繋がっている。

    同社では「アズーラ」での湿し水の量を絞った印刷によるインキ速乾効果をさらに高め、1年半前からは東洋インキ㈱製のパウダーレスインキ「TOYO KING NEX PL2」を使って完全パウダーレス化に取り組んでいる。「当社では印刷機を最高速で回すことを前提としている。単位時間あたりの生産性を最大化することは、経営的側面でもエネルギー消費という環境的側面でもいいことしかないからだ。パウダーレス化も生産効率を高める一環での取り組みで、片面印刷後の裏面印刷時で2000~3000通しごとに行っていた、先刷り面のパウダーが付着したブランケットを拭くという作業が必要なくなる。そのため当社では、UV印刷についてはまったく必要性を感じない」と、水上工場長は「アズーラ」採用を足掛かりにしたさらなる効果を明かしてくれた。

    このコロナ禍にあって、世間では抗ウイルス製品への関心が高まっている。そこで同社では昨年11月から、抗ウイルスニスサービスも行っている。ここでも「アズーラ」による湿し水量を絞った印刷は威力を発揮し、湿し水量が少ないがゆえにニスの抗ウイルス効果のパフォーマンスを高く保つことができるとともに、効果を得るために必要となるニスの盛り量を少なくできるという調査・分析結果も得られているという。また、抗菌・抗ウイルス効果は、UVニスよりも油性ニスの方が高くなるということだ。

    このコロナ禍によってリモート会議が普及しているが、その中でも同社では紙媒体の力を活かせる場面があると踏んでいる。水上工場長は、「たとえば、なんらかの画像を各々のモニターで見る際、キャリブレーションをとっていないモニターでは同じ色で再現されない。だからこそ、正しく色再現された手元資料、すなわち印刷物が有用となる。そのような需要を開拓するためには、色ムラのない均一した印刷物を仕上げる必要がある。それが実現できるのが“アズーラ”と“スブリマ”の組み合わせだ」と語る。また同社の土屋社長は「色再現に対してとても厳しい要求がある医学書を手掛けてきたことで、当社の印刷品質・レベルが鍛えられた。そこで成長を遂げた技術が、今はそのほかの印刷製品にも反映されている。当社がここまで成長できたのは、顧客のみなさまが寄せてくれた期待、すぐれたプレートとスクリーニング技術・サポートを提供してくれた日本アグフア・ゲバルトのおかげだと感謝している。みなさまのおかげで得た力をもって、社会貢献に努めていきたい」と述べている。

    アズーラTSを出力しているアバロンN8-52S

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