TOP > インタビュー・事例紹介 > アズーラ導入事例 > 協和オフセット印刷株式会社_2012.3

協和オフセット印刷株式会社

環境保護印刷先進企業の歩み

検版重視体制からの選択 -アズーラを導入 枚葉の半数で活用

 

印刷新報 2012年4月12日号掲載 

 

 神奈川県横浜市は環境規制が厳しいことで知られる。現に、横浜市に工場を構える多くの印刷会社は必要不可欠な投資として環境対応製品の導入を進めている。協和オフセット印刷株式会社(赤川三男社長)も同様に横浜工場(横浜市戸塚区)で臭気や産業廃棄物処理の削減に努めてきた。

 

そして、昨年2月に刷版時の廃液処理に大きな効果をもたらす日本アグフア・ゲバルト株式会社(松石浩行社長)の現像レスCTPプレート「:Azura TS(アズーラ TS)」を採用。環境保護印刷への確かな一歩を踏み出した。

早生取締役(左)と石見副工場長

早生取締役(左)と石見副工場長
 
   

◆環境負荷軽減を徹底


 協和オフセット印刷は、教科書や学参を中心に商印から出版まで幅広く手がける総合印刷会社。A縦全判両面4色機2台、B縦全判両面4色機、B縦半裁両面4色機のほか、菊全判5/5両面機を揃えている。仕事の中心は、教科書と学参で約5割。その他は企画から仕事を受注している。
 同社の環境配慮への取り組みは平成6年に現工場を建設した際には開始されており、工業団地内で緑化率ナンバーワン(25%)だったという。輪転機はすべて白金媒体を使用した全熱風式乾燥脱臭装置を設備し、刷版室からの廃液は中和装置で中和して排水、4台のコンプレッサーからのドレンは油分分離機で有機媒体の一種であるノルマルヘキサンを5ppm以下の清水にして排水するなど、横浜市の厳しい環境基準に対し、余裕をもってクリアしている。ISO14001や森林資源保護のためのFSC認証も取得。横浜市が毎年実施している立ち入り検査でも優良工場として高く評価されている。
 このような取り組みは教育機関でも認められ、小学校の社会科見学が行われている。過去、見学した小学生が当時の体験を鮮明に覚えており、入社したということもあったそうだ。

 

◆環境+検版でアズーラ

 

 協和オフセット印刷が「アズーラ TS」を採用したのは2011年の2月。廃液処理の課題とともに「教科書がメインであり、検版が必須」(早生幹正取締役生産本部長兼横浜工場工場長)との理由から、さまざまなタイプの環境対応プレートを調べ、現像レスのメリットに加え、出力スピードと目視検版をクリアする「アズーラ TS」を本格的に採用することになった。
 同社では、教科書以外でも検版は重視。書籍や学参の仕事は文字が重要であり、早生取締役は「印刷時も検査装置でチェックしているが、印刷前に発見できることが理想」と話す。枚葉機での印刷後には一枚検品を行っているというからその徹底ぶりが窺える。
 「アズーラ TS」採用後には、印刷時の水を絞ることができると現場のオペレーターからも好評で、「水の管理が上手くできるため乾燥が良くなり、乳化によるヤレやコスレが出ない」と早生取締役。石見幸弘横浜工場副工場長も成果に目を細める。そして、「アズーラ TS」の場合には特別管理産業廃棄物に非該当になり、全体の廃液量の削減という大きなメリットも生じている。
 現在、プレートは他社も含め3500~4000版/月使用しているが、保有する2台のプレートセッターのうち1台にクリーニングユニットを接続。教科書以外の枚葉印刷機での仕事で「アズーラ TS」を活用している。すでに、枚葉印刷全体でのプレート使用量の半数以上を占めるようになっており、絶大な信頼が寄せられている。
 次なるステップとしては、クリオネマークの取得を検討しており、「会社の宣伝として営業を支援したい」と早生取締役は意欲を見せている。

   

◆輪転機での活用も

 

 協和オフセット印刷では、枚葉印刷からカラーマネージメントシステムの構築を進めており、達成しだい輪転機でも「アズーラ TS」での全面的な展開を視野に入れている。課題となる耐刷としては、枚葉印刷の場合は小中学校の国語で1ジョブ5万枚であり、「それ以上だとどうなるかは調べているが、問題なく取り組むことができると考えている」と前向きにテストを行う予定である。
 一部、環境対応に積極的な近隣の印刷会社から「アズーラ TS」を指定したB縦半裁の仕事を受けており、ロットの小さい仕事での実績はあることから、オフ輪でのフル活用も近い。

 

活躍している「:Azura TS」

活躍している「:Azura TS」
   

◆現場改善は社員一丸

 

 「アズーラを入れたことでやるべきことが見えてきた。採用にあたり他社を見学し、版以外の環境への取り組みに影響を受けた」(早生取締役)という同社では、都市ガスやガスヒートポンプ(GHP)の利用、圧縮機を購入して産業廃棄物をプレスすることでトラックの運搬回数を減らすというCO2削減意識も高い。昨年の夏に電力不足に陥った際には、工場内の照明を蛍光灯と水銀灯合わせ400本近く外すなど、社員一丸となって課題を解決してきた。純水装置によりノンIPAを実現した際には横浜市からも最大級の評価を受けたという。
早生取締役の「印刷会社が不良を出さないためにはどうするかを常に考えている。それだけに後退せずに前向きな改善を繰り返している」という想いが、石見副工場長を中心にしっかりとコミュニケーションを取ってよいものを取り入れていくというスタッフの意識の高さに表れている。
 「アズーラ TS」を採用し、さらなる環境負荷軽減を実現した協和オフセット印刷。「教科書を使う子供たちのためにも、環境への対応は今後も続けていく」(早生取締役)と決意を新たにしている。