TOP > インタビュー・事例紹介 > アズーラ導入事例 > 株式会社大川印刷(後編)_2010

株式会社大川印刷

次なる一手 新分野をつかむ《後編》

継続こそがブランドの力
本質的な活動を徹底追及 

 

日本印刷新聞 2010年7月19日号掲載 

 

 印刷という事業を通じて社会的な課題の解決に取り組んでいく「ソーシャルプリンティングカンパニー」を目指している(株)大川印刷(本社・神奈川県横浜市戸塚区上矢部町2053、大川哲郎社長)では、代表的な社会的課題となる環境配慮やユニバーサルデザインなどを積極的に展開している。長きにわたりこのような展開を続けていることで、CSR(企業の社会的責任)に敏感な多くの印刷物発注者から、「ソーシャルプリンティング」が1つのブランドとして認知されている。

 

  ブランドを構築するには、自社の活動を社会に知ってもらうことが必要となる。環境配慮を謳った印刷会社は数多くあるが、それでも顧客が同社を求めるのには、何らかの理由があるはずだ。「表面上だけの環境配慮ではなく、どこまで本質的な追求ができているかというところだと思う。当社の強みは働く人達にある。会社として環境配慮をやると指示されたから、環境に配慮した生産・営業活動をやらされているという域では、本質的な活動はできない。社員が環境配慮について意味を理解して活動することで、深みが出てくる」と大川社長は言う。では、どのようにして社員への意識浸透をさせるのだろうか。

大川 哲郎社長

大川 哲郎社長

 
   

 同社では、新聞などからピックアップした様々なテーマについて、毎朝1人が持ち回りで発表し、全員が感想や追加情報を交換するという取り組みを地道に行うことで、社員の五感や感性に訴えかけてきた。また、社内の業務改善として、ワールド・カフェの手法を採用。7-8人のグループに分かれ、会議スタイルではなく、お菓子や飲み物を取りながらラフな感じでテーマに沿った討議をし、ある一定時間が過ぎたらメンバー交換をして、元からいた人は新たに入ってきた人に対して前のチームで話した内容を伝えてからさらに討議することで、全体の考えが広がり深みを増す方法だ。このような取り組みから、環境配慮やCSRに関する新しい考えも生まれることも多く、社員の感じる心のスイッチ切り替えと意識浸透に役立てている。

 

 会社の方針と社員の意識向上は図れた。次は社会的な認知だ。「自社の活動を社会的に認知してもらうには、とにかくやり続けるということに尽きる。例えば、私はマイ箸やマイボトルを持ち歩いている。今ではよく見られる姿だが、10年前からやっていた私は、当時は変人のような目で見られていたと思う。考えてみると、ある時代では変人でも、これからの時代に必要とされることかもしれない。ただ、一人で行動しているだけではそれで終わってしまい、行動に付いて来る人がいなければ社会を動かすことはできない。当社にはたまたま、付いて来てくれる人がいる土壌があった。やり続けることや言い続けることが、社員の協力に繋がるのだと思う」と、ブランド確立の鍵として、継続し続けることと、取り組みをフォローしてくれる人材の大事さを大川社長は強調する。

   

 そして広報活動については、環境イベントへ積極的に参加することが挙げられる。そのようなイベントに出て、環境に関心がある人の目にたくさん触れることで、草の根的な活動がだんだんと口コミで広がっていくからだ。また、そのような人達に、環境・CSR・印刷というキーワードで真剣にネット検索をしてもらうと、同社に辿り着くのだという。大川社長は、「環境に関する活動を積極的にしている企業とは、本気で取り組み続けていると、どこかで必ず出会うものだ。本質重視のコアな人が集まる会に参加したり、また環境に関するセミナーに講師として呼ばれたりすることで、ビジネスにつながるということもある」と語る。営業・広報戦略よりも、取り組みをやり続けることで魅力ある会社になり、社会や顧客に振り向いてもらえる会社になるということだ。

アバロンN8とアズーラTS

アバロンN8とアズーラTS
   

 同社では近年、「ソーシャルプリンティング」の取り組みを通して、毎年60社程度の新規顧客が増えているという。「これも長く取り組んできた成果の1つだと思う。当社の取り組みを知った企業のCSR担当者からの問い合わせがよくある他、最近では当社と取引がない会社が顧客を紹介してくれるケースもでてきた」(大川社長)

同社では、生物多様性元年と言われている今、色々な事業活動をする上で、印刷と環境という切り口だけで捉えるのではなく、生物全体・生物多様性という視点で考え、全ての人や環境、社会にとっての幸せがどのような状態なのかを追求していくという。大川社長は、「印刷を通じて社会に貢献する次なるステップとして、生物多様性という視点も含め、社会の役に立てる取り組みを考えていきたい」と次なる一手を考えている。