TOP > インタビュー・事例紹介 > アズーラ導入事例 > 株式会社大川印刷(前編)_2010_

株式会社大川印刷

次なる一手 新分野をつかむ《前編》

アズーラTSで環境配慮
ブランド力をさらに強化 

 

日本印刷新聞 2010年7月12日号掲載 

 

 価値や本質を徹底追求した製品やサービスには、本物を求める顧客が自然と集まってくるものだ。このようなブランドの確立は、一朝一夕でできるものではない。一歩ずつ着実に歩を進め、長い時間をかけて市場や社会での実績と信頼を積み上げることが必要だ。印刷という本業を通して社会的な課題の解決に取り組む「ソーシャルプリンティングカンパニー」を目指す(株)大川印刷(本社・神奈川県横浜市戸塚区上矢部町2053、大川哲郎社長)では、印刷業界が環境配慮への本格取り組みを始めるよりも遥かに早い、およそ10年以上も前から独自コンセプトによる環境配慮の取り組みを展開。平成17年には第8回グリーン購入大賞を受賞するなど、同社の取り組みとブランドが社会的に認知されてきた。その同社が環境配慮をさらに加速させるにあたり、今年4月、アグフア社製の現像レスCTPプレート「アズーラTS」とサーマルCTP「アバロンN8-22」を導入し、さらなる歩を進めた。

大川 哲郎社長

大川 哲郎社長

 
   

 同社の前身は、薬の貿易商。同社の創業者となる大川源次郎氏は、幼少期から見ていた輸入医薬品のラベルなどが将来有望産業になると踏み、明治14年に印刷機を輸入して、印刷会社としてのスタートを切った。その当時から医薬品関係の印刷物をメインに手掛け、今も製薬/食品分野の仕事を多く手掛けている。創業129年となる現在は、約40人の社員を擁し、菊全判4色機、菊全判2色機、菊半裁単色機、UV4色フォーム輪転機が稼働している。
 同社が環境配慮への取り組みをはじめたのは、およそ10年前。当時、印刷業界における環境配慮は、再生紙や大豆油インキなど、使用材料の変更だけに着目されていた。同社では、「それだけで本当に環境に優しいのか?」という疑問を抱き、印刷材料の選定から加工方法、そして圧縮天然ガス車を使用した配送によるCO2減少協力までの一貫した環境負荷軽減を追求した、同社独自の「エコライン」という取り組みを開始した。具体的には、平成17年から4色インキについては全てノンVOCインキを採用し、特色についても順次切り替え。用紙ではFSC認証紙を積極的に使用し、現在は同社の印刷物の用紙全体の35%を占めるまでになっている。また、移動は公共交通機関を使用し、営業車を使う場合でも1台の社有車以外は地域のカーシェアリングシステムを活用している。
 このように環境配慮に積極的な同社が、さらなる環境対応を考えて今年4月に導入したのが、現像レスCTPプレートの「アズーラTS」だ。

 

 同社ではこれまで、フィルム製版からアナログで刷版を焼いており、CTP出力が必要なものに関しては協力会社に外注していた。「当社がメインの仕事としている医薬品添付文書などでは、文字化けや半角ズレなどがあってはならない。イメージセッターやCTPの導入をこれまでも考えたことはあったが、デジタルデータでの運用はその点について当社も顧客も不安を抱いていたので、アナログで刷版を焼く状況が続いていた」(同社・大川社長)

 

 しかし、イメージセッターもCTPも採用していないので、刷版部門の外注費はどんどん増大していく。しかも、CTPの不採用は環境負荷の要因にもなる。そこで同社でも、CTPを導入することになった。機種選定については、全社的な意見交換をした結果、環境配慮という観点から現像レスタイプであることが最低条件として挙げられた。また、製品の品質安定や検版への不安を払拭するため、印刷機上現像タイプではない現像レスCTPプレート「アズーラTS」と四六全判サーマルCTP「アバロンN8-22」の組み合わせが適していると判断した。

   

 同社ではイメージセッターもCTPも保有していなかったので、今回CTPを担当するのは当然のことながら未経験者だ。しかしながら、稼働状況が軌道に乗るまでに1ヶ月も要さずに運用を開始。現在、再版でデータ化できないものだけはアナログ刷版を使い、それ以外は全て自社内のCTPで出力。1日あたり40-50版の運用を行っている。「最大のメリットは大幅な外注費削減効果だ。品質面では、現像レスによる品質安定性はもちろん、印刷時の見当が良くて損紙量も減った。また、これまでは印刷部門が協力会社から刷版が届くのを待っていたので、どうしても納品までの時間がかかってしまっていたが、社内でCTP出力することでスピード化が図れる上、刷版の納入待ちによる印刷機の空き時間がなくなったので、全体のスケジュールがスムーズに流れるようになった。導入前に抱いていた文字化けなどの問題は、これまで一度も発生していない。ただ、品質保証として、検査システムによる多重チェック体制は整えている」と、同社の大川社長は、導入の効果を表している。 

アバロンN8とアズーラTS

アバロンN8とアズーラTS

   

 

 現像レスCTPプレート「アズーラTS」の採用により、同社の「エコライン」の取り組みが一段と進化した。CTP導入による外注費削減というメリットは得たものの、それだけで満足していては「エコライン」の取り組みを強化すべく「アズーラTS」を採用した狙いがぼやけてしまう。そこで同社では、今回の「アバロンN8-22」と「アズーラTS」の導入で変化したことについては、わかりやすい形に整理して顧客に伝え、環境対応が向上したことをアピールしていく。
 同社ではこれまでも、今回の「アズーラTS」の導入と同じように1つ1つの取り組みを積み重ねてきた「エコライン」による環境配慮、そして「ソーシャルプリンティング」を積極的に展開することで社会的認知を得、大手優良顧客を数多く抱えているが、このような活動をどのようにして告知・宣伝し、顧客からの支持を集めるブランドとして確立できたのだろうか?

 

【続きは次号】