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パネルディスカッション

アズーラ速乾印刷でわが社はこう変わった!

日本印刷新聞 2015年4月6日号掲載 

パネルディスカッション

株式会社共立アイコム 小林 武治 代表取締役社長

研友社印刷株式会社 新井 修次 代表取締役社長

サンケイ総合印刷株式会社 川口 泰弘 製作本部 副本部長

日本アグフア・ゲバルト株式会社 松石 浩行 社長

 

 日本アグフア・ゲバルト㈱(本社・東京都品川区、松石浩行社長)はpage2015会期中の2月5日、会場に隣接するサンシャインシティコンファレンスルームで「アズーラ速乾印刷でわが社はこう変わった!」と題したパネルディスカッションを開催した。このパネルディスカッションでは、現在印刷業界でブームを巻き起こしている「アズーラ速乾印刷」をすでに採用・実践している会社から、㈱共立アイコム(本社・静岡県藤枝市高柳1の18の23)の小林武治社長、研友社印刷㈱(本社・埼玉県和光市白子3の35の9)の新井修次社長、サンケイ総合印刷㈱(本社・埼玉戸田市喜沢南1の5の43)製作本部の川口泰弘副本部長の3氏をスピーカーに招き、同社の松石社長がモデレーターを務めて、その立ち上げから具体的な効果やノウハウなどについて率直な意見交換を行った。

 

 

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満席となった会場

 

繁忙期の外注減る

  必要な経営陣の後押し

 

 松石 当社では2年半前から、「アズーラ」のプレートの特性を活用して、「油性インキで速乾印刷をする」ことを印刷業界に提唱してきました。この提唱について、多くの印刷会社で、とくに印刷現場で実際に作業している工場長やオペレーターの方々は、初めは信用してくれません。サンケイ総合印刷様は3ヶ月前、研友社印刷様は速乾印刷の提唱直後、共立アイコム様は2年程前に「アズーラ速乾印刷」を立ち上げられました。
 みなさんは当社の営業スタッフから初めて速乾印刷を紹介された時、どう思いましたか?
 小林 この話を検討しないのなら経営者として失格だと思う程、良いことずくめの内容だったので、すぐに採用するかどうかの検討に入りました。ただ、私自身は印刷作業について詳しいわけではないので、現実的な検討内容については印刷工場のスタッフに任せました。
 新井 当社は従業員数が30人程の印刷会社です。「現像レスプレートアズーラ」の採用は2005年からで、現像という工程が1つ減ることによりトラブル発生要因も1つ減るだろうという考えからでした。
 速乾印刷の話を聞かせてもらい、理論的にまったくもって正しいので、それが「アズーラ」を使うことでできるのならばやってみたいと思い、すぐに飛びつきました。平成24年に速乾印刷を立ち上げ、現在も継続して行っています。速乾印刷に取り組んでとても良かったと思っています。
 川口 最初に速乾印刷の話を聞いた時、正直に言いますと、嘘だと思いました。その後、速乾印刷をすでに実践している㈱平河工業社さんを見学させてもらったところ、確かにインキがすぐに乾いていて、とても驚きました。ですが、それを目の当たりにしてもまだ、印刷機が良いからできるのであって、当社の印刷機ではできないと疑い完全には信じられませんでした。
 しかしその見学の帰り道、一緒に見た同僚と話したところ、その同僚もやはり驚きと感動をしていました。これまでもインキの乾燥を早めるために水を絞っていたつもりでしたが、インキの乾燥不足にまつわるトラブルはあったので、それがなくなるのならばやってみたいというのが第1歩でした。
 松石 この速乾印刷にしてもそうですが、新しい取り組みをするにあたり、経営者からの指令によって始める場合、その取り組みの成否の責任は経営者にあるので、印刷現場としては気が楽だという話を聞きます。
 しかしその一方で、印刷現場の人の考え方は保守的で、これまで長い間積み上げてきたノウハウがベストだと信じて仕事をしています。速乾印刷はそれを覆すようなことにもなりますが、みなさんの会社での印刷現場の反応・抵抗などについてお聞かせ下さい。

川口 印刷現場の考えが保守的なのは安定感を追求しているからで、何かを変えるというのは勇気がいることです。とくに私は、社内で品質管理の業務をしているので慎重にならざるを得ませんでした。ただ当社の場合は、経営陣が「速乾印刷をするぞ」と旗を振ってくれました。このような力強い後押しがあったので、印刷現場はやりやすかったと思います。
 新井 速乾印刷を採り入れるにあたり、印刷現場からの抵抗はあるだろうと想定していました。そこで、コンサルタントに来てもらう前日に印刷オペレーター全員を集め、「これからやる速乾印刷は新しい手法なので、これまでのやり方や知識をゼロにして、素直に聞いて欲しい」とお願いしました。そして、これまでの固定概念は捨てて、オフセット印刷の原理原則を徹底し直すための指導をオペレーター全員で仰ぎました。
 小林 私は印刷技術については素人なのですが、以前から疑問に思っていたことがありました。それは、他社の印刷現場を見させてもらうと、当社よりも段取り替えの時間が短く、印刷機の回転数も高いのです。また、スペック表に書かれている印刷機の最高回転速度で回していることがなく、印刷現場からは「これが精一杯だ」と言われることにも疑問を持っていました。速乾印刷によってこれらの課題も解消できるということなので、それも含めて印刷現場で検討してもらいました。その後、どのような経緯があったのかは知りませんが、工場長から「速乾印刷をやってみたい」と申し出がありました。
 当時、当社は印刷現場のスタッフをあまり他社の見学会に行かせていませんでしたが、すでに速乾印刷をしている印刷会社へ見学に行かせたところ衝撃を受け、そのスタッフが工場のほかのスタッフに速乾印刷の凄さについて語っていました。その衝撃とともに、当社でも速乾印刷ができるという確信を持って帰ってきたので、印刷現場の本人達の意思から当社の速乾印刷への取り組みは始まりました。

       

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(株)共立アイコム 小林社長

 

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研友社印刷(株) 新井社長

松石 当社のコンサルタントがみなさんの工場にお伺いしてからどのくらいの期間で速乾印刷が立ち上がりましたか?
 川口 枚葉印刷機を速乾印刷ができる状態にするために3日間じっくりとメンテナンスをしましたが、思いのほかすんなりといけた印象です。「アズーラ」は地汚れしやすいプレートだという話を聞いていて、負の意味での先入観がありましたが、実際に印刷してみるとそうでもありませんでした。そもそも、オフセットという同じ原理で印刷しているので、汚れの原因がプレートだけにあるわけがありません。当初は心配をしていたので従来のプレートと併用していくつもりでしたが、結果がでたのでこれ1本でいくことにしました。
 新井 当社は立ち上がりがとても早かったです。枚葉印刷機が4台ありますが、全機を朝から止めて、オペレーター全員で指導を受けました。まず、16年間稼働してきた4色機を使い、ローラーを磨き上げ、湿し水を交換し、ニップ調整をし、その日の夕方にはテスト刷りをしました。ベタ物が約2分で印刷面を触れるほど乾燥しており、とても驚きました。それで全員が「速乾印刷を習得できる」と気持ちが1つになりました。ほかの3台のオペレーターからも「自分の印刷機でもやりたい」という申し出があり、工場全体がポジティブな方向に変化しています。
 小林 12月中旬に速乾印刷への取り組みを始めて、翌年3月の繁忙期にはオフ輪と枚葉印刷機の9台すべてで速乾印刷ができるようになり、そのおかげで繁忙期の外注が大幅に減りました。

 
 松石 当社のコンサルタントは、みなさんの印刷工場で稼働する全部の印刷機を速印刷ができる状態に仕上げることはしません。1台だけ、オペレーターのみなさんと一緒になってメンテナンスのお手伝いをします。そして、残りの印刷機はみなさんでやって頂きます。そうすることで、これまでは使い方しか知らなかった印刷機を細部まで知ることができ、かつメンテナンスをする技術を身に付けることができるからです。
 そして、1回きちんと速乾印刷ができる状態にすると、その後のメンテナンスは大きな負担にはなりません。
 小林 当社では週に1度、1胴分をメンテナンスしており、4色機だと4週間隔ということになる。このサイクルで何の問題もないと聞いています。
 新井 毎日の仕事終了後、10-20分程度、水元ローラーだけはメンテナンスしています。ほかのローラーは週1回だけです。印刷現場のメンテナンスに対する意識が変わり、それが継続して実行されています。

 

 川口 毎日20-30分、水元ローラーをきれいに拭き取ります。あとはニップ幅が狂っていないかを確認しています。
 松石 印刷機を設備するためには何億円も投資します。それほど価値があるのですから、わずかな時間の手入れを惜しまないでもらいたいのです。メンテナンス作業を嫌うオペレーターの方にはにこのことを経営者から伝えてもらいたいと思います。
 小林 印刷現場では、速乾印刷を始めたことでパウダーをほとんど噴かなくなったので掃除がとても楽になったと喜んでいます。そして何より、裏付きやヒッキーなどによるトラブルが起こるとその対応に時間が取られてしまいます。それならば普段から印刷機をメンテナンスしている方が楽だし、「メンテナンスをしないことでトラブルが起こる可能性を作ることの方がむしろ怖い」と言っています。
 新井 当社では、メンテナンスをすることについて、印刷現場から不満やクレームはまったく起きていません。速乾印刷をすることで、早く乾くだけでなく網点がとてもきれいになり、印刷物に艶がでるようになった。目に見えるわかりやすい進化があるので、オペレーターも前向きに、必要不可欠なこととしてメンテナンスをしてくれています。
 川口 これまで、メンテナンスを疎かにしたことで起きたトラブルはありました。現在は枚葉印刷機とA列のオフ輪で速乾印刷を取り組み始め、成果も出始めています。あとは、新聞印刷を主にしているB系列のオフ輪でどのように取り組むかが課題となっています。

 


変革遂げた印刷現場

  高品質、コストもダウン

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サンケイ総合印刷(株)

川口副本部長

 

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アグフア 松石

 

 松石 最近は省電力UV印刷が普及し始めていますが、みなさんの会社ではどのようにお考えですか?

 新井 今年1月に古い印刷機を入れ替えるにあたり、印刷機メーカーからはUV印刷機を勧められました。当社はこれまでもUV印刷機は持っていませんが、その時もUV印刷機はまったく検討しませんでした。なぜならば、速乾印刷さえできていればUV印刷の必要がないからです。また、速乾印刷によってどんてん打ち返しですぐさま裏面印刷ができます。そこで今回は、油性の片面4色機を導入しました。私は、速乾印刷ができていれば両面印刷機は必要ないと思っています。仕事の内容によっては速乾印刷ではない両面印刷機よりも早くできるからです。
 小林 当社ではこれまで、UV印刷機導入の話が出たことは1度もありません。機械や材料は高価なのに安価で印刷製品を提供することは理解できないので、おそらく今後もUV印刷機の話は出ないでしょう。
 川口 受注価格が下がる中、高額なUV印刷機への投資を回収するのは難しい気がします。現実的に、今は油性インキでも速乾印刷が可能になっているので、UV印刷と互角に勝負できると思っています。

 松石 速乾印刷をすることによって、コスト削減にも繋がります。共立アイコム様では数値管理を徹底していて、そこからも速乾印刷に取り組む前後でのコストや収益性の変化がはっきりと見て取れます。
 共立アイコム様は年間売上が約25億円です。この売上額で平均的な印刷会社の利益率だと2000-3000万円が利益になると思われます。それが速乾印刷をすることで、この利益分くらいの節約ができます。
 小林 パウダーは年間に60%減で100万円以上、インキは700㌔㌘(4・5%)減で50万円強、また予備紙減で200万円以上の節約で、かつインキ乾燥にまつわる事故もなくなりました。また、段取り時間が1ジョブあたり3-5分短縮されて生産性が13%上昇した上、オペレーターは2人少なくなっています。これら全体を計算すると、人件費や時間をどのように捉えるのかで変わりますが、年間で約2100万円のコストダウンを実現しました。それに加え、印刷機の故障やパウダーをほとんど使わないのでエアコンの故障も減っています。
 新井 UV印刷機がない8時間勤務体制の会社なので、当日に両面を印刷しなければならない仕事はほとんど外注していました。それが速乾印刷によって、ほとんどなくなりました。裏面印刷にも次の工程にもすぐにかかれます。

刷り上りの品質も良くなり、現場も喜んでいます。何で今までやらなかったのだろう、と言う意識があります。
 川口 水が絞れているという実感はあります。とくにダブルデッカー機ではファンアウトが起こりやすいので苦労していました。使う用紙によってはどうしても見当が合わないものがあり、それがクレームにつながることもありました。両面機なのですが、それを回避するために片面ずつ印刷することもありました。それが速乾印刷にしたことで、水が絞れて見当性が良くなり、問題なく両面印刷できるようになりました。これまではファンアウトを予測して加減焼きをして対応していましたが、予測がハズれるとヤレ版になります。そのような悩みが一切なくなりました。
 また、速乾印刷は用紙を選ぶこともなく、再生紙でも問題ありません。
 小林 当社で以前開催したオープンハウスでは、乾きが悪いヴァンヌーボにかなり重たい絵柄で印刷する実演を行いましたが、30分後には乾きました。現在、取り扱っている紙で問題があるとは聞いていません。
 松石 「アズーラ速乾印刷」に興味を持つ人へメッセージをお願いします。
 小林 本当に印刷品質が変わりました。品質が良くなったことで「これまでと色が違う」というクレームがくるかもしれないと身構えていましたが、顧客も目が肥えており、品質が良くなったことをすぐに理解してくれ、結局クレームはきませんでした。
今、水が絞れているからこそできる超薄紙に印刷する技術への挑戦をしています。需要がどれほどあるかはわかりませんが、30㌘/平方㍍の紙へ印刷できるようにはなりました。このように、速乾印刷を習得したことで印刷現場が能動的に挑戦をするようになり、コミュニケーションも広がりました。このように印刷工場が変革を遂げたことも大きな収穫です。

 

◆ アズーラ速乾印刷   
「アズーラ速乾印刷」は、枚葉オフセット印刷において、印刷時にしっかりと水を絞ることでインキに混入させる水分量を適正にした適正乳化状態にして、インキを早く乾燥させる技術。これを実現させるためには、▽印刷機のローラー間のインキ転移率を正しい状態に戻すメンテナンス、▽水を細かな滴として供給できるプレート(=浅くて均一な砂目を持つアズーラ)の使用――が大きなポイントとなる。インキが早く乾燥することにより、裏付きなどの印刷事故削減、短納期対応、パウダー使用量の削減などが図れるほか、印刷機の回転数向上、インキへの水の混入が少ないのでドライダウンのない艶のある高濃度な印刷による品質向上、色合わせ作業の迅速化、インキ使用量の削減といったメリットも生まれる。

 

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