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株式会社プラルト

現像レスで速乾印刷

オフセット印刷の完成型を体現

工場運営を加速・進化

2013年10月28日付 日本印刷新聞掲載 

 株式会社プラルト(本社・長野県松本市大字笹賀5985、犬飼金男社長)は今年8月、大きな変革に打って出た。その変革とは、現像レスCTPプレートの採用および油性インキによる速乾印刷技術の導入だ。アグフア社製の現像レスCTPプレート「アズーラTS」、サーマルCTP「アバロンN8」、プリプレスワークフローシステム「アポジー8」を同時に採用。CTPプレートの現像レス化によって環境に配慮した工場運営を加速させるとともに、油性インキによる速乾印刷をする仕組み作りを整え、オフセット印刷の完成型とも言える生産体制へと進化を遂げた。

 

 昭和27年に創業した同社は、商業印刷の中でも写真集やポストカードなどの美術印刷分野に力を注ぐ印刷会社。まだアナログ製版をしていた20年程前から高精細印刷を手掛けており、430線での印刷もこなす。印刷機は2台の菊全判4色機のほか、菊全判1/1色機、菊半裁4色機、菊四裁4色機および2色機などの枚葉機を取り揃えている。

 平成17年に第4回印刷産業環境優良工場表彰で奨励賞を受賞するなど、元々環境に配慮した運営をしてきた。同社の石原隆常務はその姿勢について、「自然に恵まれた立地なので、自然を大切にしている。12年前には創立50周年記念事業として、地域貢献活動として本社横に緑地公園“エコパーク”を造成した。この公園の維持に関する費用・整備・運営なども負担し、年間を通じて草花が絶えない公園作りを継続した結果、松本市の花いっぱい花壇コンクールで平成18年から24年にわたって7回連続で最優秀賞を受賞している。また、電気やガスなどのエネルギー消費低減の取り組み、工場内で使用する資機材の選定(=有害物質の排除)など、対外的な評価ではなく、自分達でダメだと思ったことは改めて良いと思ったことには取り組むということを重ねてきた。環境優良工場表彰への応募も、その催しのために特別な取り組みをしたのではなく、以前からの継続的な取り組み内容を評価してもらい受賞させてもらった」と語る。そんな同社が良いと判断した次なる進化のステップが、CTPプレートの現像レス化と速乾印刷技術を組み合わせたソリューションだ。

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 犬飼社長 

 

 

 
   

 同社が現像レスCTPプレートによる速乾印刷技術を知ったのは今年4月、そのソリューションの先達である㈱平河工業社(本社・東京都新宿区)へ工場見学をしたことにさかのぼる。変化への対応や新たな取り組みへの順応を拒まないスタンスで経営にあたる犬飼社長からの指示を受け、石原常務は印刷オペレーター2人とともに見学。そこで目の当たりにした速乾性や印刷品質が同社の普段の仕事とは全然違うことに衝撃を受け、すぐに採り入れることを決めた。「印刷オペレーターは常に乾燥にまつわる事故が起きないように気を付けて刷っていた。また、工場の生産効率を考える上でも、乾燥待ちで滞留している時間はロスになる。そのような点から、社長は当初UV印刷の導入を考えていた。しかし、UV印刷をするには大がかりな設備が必要な上に資材も高額。しかもすべての印刷機でできるわけでもないので、その話は立ち消えになった。そのようなタイミングで速乾印刷を知り、工場見学をさせて頂いたところ、合成紙でもすぐに乾くさまを見て、当社でも採用するように働きかけた」(石原常務)

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 石原常務

 

 

 現像レスCTPプレートによる速乾印刷の採用を決めたものの、実際にそれをする印刷オペレーターはノリ気ではなかった。やはり、事故や失敗をせずに納品することがオペレーターにとっては重要事項なので、トラブルの発生要因になりかねない材料ややり方の変更は望まない。そこで、全員に納得して取り組んでもらうために、会社の方針として取り組むことを明確にするとともに、技術習得までの道程を示し、導入前の座学や準備も会社主導で行った。さらに、仮に速乾印刷に移行したことによって失敗や問題が起きたとしても、印刷オペレーターにその責任は問わないということを示し、全員が安心して新たな取り組みに挑める環境と約束を作った。

 速乾印刷を実践するために必要となるのは大まかに、実践前の印刷機の整備・セッティング、適切な資機材の選択・調達、印刷機の状態維持のための日常メンテナンスだ。同社では菊半裁以上のサイズの印刷機4台について速乾印刷ができるよう、夏休み期間を利用して印刷機をセッティング。休み明けすぐに本格稼働に入った。「通常の両面印刷の仕事なら片面印刷後すぐに反転高積紙揃機を使って用紙を返し、すぐにどんてん印刷を行える。写真集の仕事でインキ総量が400%になるものもあったが、それも問題なく印刷できた。乾燥時間の短縮により、全体で2-3割の生産性向上になった。また印刷機の状態が良くなったことで刷り出しも早くなり、4色印刷での損紙が60-70枚位に収まっているのも効果の1つだ。同じインキ量でも濃度や色再現性も上がり、メリハリや迫力が出る。印刷立ち会いをした写真家から“いつもよりも色がきれいだけど何で?”と尋ねられた。このように自分達の手でコントロールした印刷機によって良い物ができるようになったことで、印刷オペレーターのやる気も向上し、印刷機を大事に扱うようになった」(石原常務)

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アズーラTS」を出力するCTPライン

   

CTPプレートの現像レス化については、そのための作業的負担や特別な取り扱いも不要で、何事もなく移行できた。「アズーラTS」のプレート単体の価格はこれまで使用していたものより若干高いものの、現像液やその廃液処理などの費用も含めて計算すると、月間で数万円程度の微減となった。「速乾印刷をするためには水を絞ることが重要となる。“アズーラTS”は今まで使っていた保水性の良いプレートとは違って水を抱え込まないので、速乾印刷に適している」(石原常務)。さらに、240線を標準印刷、写真集などの仕事では340線という高精細印刷をしているが、この導入を機に、それをアグフア社製のXMスクリーニング「スブリマ」に移行している。

 同社の犬飼社長は「顧客に認めてもらえるものをどのように供給するかがビジネスのポイントとなる。現像レスCTP“アズーラTS”、高精細XMスクリーニング“スブリマ”、油性インキによる速乾印刷技術の組み合わせたソリューションはオフセット印刷の完成型だと思う。これらの採用によって品質が上がり、差別化を図れる状況が整った」と、自社の新たな変革について評価している。