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佐川印刷株式会社

水が絞れる“アズーラ”で
念願の速乾印刷を自力で立上げ!

2013年9月 アグフア取材 

速乾印刷は現像レスプレートで差が出る
損紙半減、生産性1.5倍の効果

 

 佐川印刷株式会社(本社:愛媛県松山市問屋町6の21、佐川正純社長)は、2010年 にアグフアの現像レスCTPプレート「アズーラTS」を採用したと同時に、現在話題の速乾印刷を市場に先駆け自社のノウハウで早期に立上げ実践している。

 

「Your Communication Partner」を企業ビジョンに掲げ、お客様のコミュニケーション支援を第一に、社員の労働環境をも重視した経営を推し進めながら様々な取組みを実践する同社は特に環境保全活動には力を入れ、愛媛県優良循環型事業所の認定や環境保護印刷「クリオネゴールドプラス」の認証取得など、地球、お客様、そして社員にもやさしい印刷を推進する一環として現像レスCTPプレートをいち早く採用した。「当初は環境にやさしい印刷物の提供でお客様に満足をいただいていたが、その後市場では短納期の要望が強くなり、環境対応に加え早く届けられる印刷への答えを探す中で“速乾印刷”が実現できないかと考えるようになった。」(佐川社長)

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  佐川社長

 
   

 ■ 刷り出し調整が100枚まで減

 

 しかし残念ながら当時使用していたプレートには速乾印刷に不向きな課題があったとのことである。「当初に採用していた現像レスプレートは機上処理タイプで、印刷前準備で通常時よりも水量を上げなければならず、インキの乳化が起きやすく乾燥性を良くすることが難しいという課題があった。また検版ができず取り扱いやカラーマネージメントにも難があり、多品種小ロット印刷には不向きであった」(川上工場長)とは言え、現像レスは時代の要請であり、現像に逆戻りすることなく運用を続けながら課題解決の調査を続けていたところ、アグフアより現像レスプレート「アズーラTS」の紹介を受けた。「“アズーラ”は機上処理が不要で、目視検版もでき、取り扱い性能に優れる現像レスプレートであった上に、浅くて細かい砂目構造により水が絞れるという特性があり、テストにおいてその効果が高いことが実証され、念願の環境対応と速乾印刷が両立できるプレートであるとの結論に至り採用を決めた。」(佐川社長)

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 川上工場長(左)と木下機長

ただ導入当初は、浅くて細かい砂目構造により水が絞れるという特性のためか、「インキと水のバランスが従来とは異なり、そのコントロールに完全に慣れるまでに多少の戸惑いはあったが、それほど時間をかけることなくすぐに使いこなせた」と木下機長。その過程で佐川社長が信じて進められたのは、「アズーラTS」による乾燥性の高い印刷を既に実践していたある先進ユーザーの社長の「“アズーラ”はプロ仕様のプレートである」という一言であった。「“アズーラ”は使うだけで自ずと水が絞れるプレートと分かってはいたが、そこには絞ろうとする意識も必要であり、また技術も必要である。プロ仕様とされる多少の難しさはあるが、基本となる印刷技術とメンテナンスさえしっかりとしていればさらに水は絞れ、速乾の効果も飛躍的に高めることができる」と佐川社長は確信していたそうだ。

 

 

 検版も速乾印刷もできる画期的な現像レスプレート「アズーラTS」を採用したことで、作業性も生産性も大幅に向上し、コストダウン効果も大きなものとなり様々な具体的な効果が出ている。水が絞れることで色が安定し見当も合うため、カラー物の刷り出し調整では、標準的で30枚を3回通すだけで本刷りに入れる。「10年前から刷り出し調整を200枚と取り決めて運用してきたが、“アズーラ”の採用で一気に100枚まで下げることができた。現在は50枚の運用も可能との感触をつかんでいる。」(川上工場長)

 

パウダーにおいても削減ができ、単純なコストメリットもあるが、刷版と印刷の理想の運用スタイルとして、CTPを印刷機の横に設置するというニアライン運用ができるメリットが大きい。データは本社から指示し印刷工場のCTPへリモート出力し、印刷オペレータ自らが必要なタイミングでプレートを取りにくるという合理的な手法である。CTPは精密機器であるため印刷工場に飛散するパウダーが少ないことが安心してニアライン運用ができる条件とのことだ。

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環境対応と速乾印刷を両立

 

 ■ さらなる理想環境めざして

 

 また時間短縮、生産性向上効果の一例として、「20台のジョブで以前に比べて1台あたり5分の時間短縮ができ、合計100分の大幅な短縮となった。また、パターンが雑多な10台のジョブなどは以前では朝から夜、夜中までかけてしまっていたが、現在は夕方までに軽く完了できている。以前と同じ時間をかければ今なら15台はできる、つまり1.5倍の生産能力へとアップした」(川上工場長)

 

さらに断裁では、以前は通常1日、乾きの悪いもので2日置いてから行っていたが、現在では1~2時間での断裁は当たり前に行われている。またマット紙の広報誌では一晩置いていたが、今では30分で断裁しそのまま中綴じ製本まで行うスピード対応ができているそうだ。

忙しい時期になると冊子物が増える傾向にあるが、速乾印刷でより多くのジョブが印刷でき、後加工にも早く着手できるようになり、時間短縮、生産性向上において大きな成果が出ている。また、速乾印刷による時間短縮、効率化効果により、オペレータは心にゆとりを持って作業できるようになり、事故を起こさず品質を上げるという効果も出ているそうだ。

   

この速乾印刷の立上げはコンサルタントなしで行ったが、「試行錯誤を繰り返し、自分たちで悩み、自分たちで考え、そして解決することは、長期的な視点でより大きな会社の力となり風土ともなる」との佐川社長の考えからである。今でも印刷機のセッティングや様々な資材について調査研究を続け、アグフアなどの協力会社の支援も受けながら更なる理想の印刷環境の構築を目指している。

 

念願の速乾印刷立上げに成功したポイントは、「水が絞れる“アズーラ”という速乾印刷に最適な資材と出会えたこと」と佐川社長は振り返る。さらに佐川印刷では印刷機のメンテナンスに会社を挙げて力を入れていることが独力で立ち上げられたポイントでもある。勤務体系は二勤であるが、いずれにおいてもそれぞれの勤務の終業時に必ず2時間の片付けと印刷機メンテナンスを行っている。「この2時間は高品質でしかも効率よく印刷物を作ることを保証するものであり不可欠なものであると考えている。」と川上工場長はその重要性を説いた。

速乾印刷においては水とインキを極限まで絞り込むために、印刷機のメンテナンス状態が高品質な速乾印刷の運用を左右するとのことである。メンテナンス項目とサイクルは独自に研究し確立をしているが、これこそが佐川印刷が印刷に真面目に向き合っているという姿勢であり、高い技術力を支えている要素ともなっている。佐川印刷において「アズーラTS」は「この努力と技術を最大限に印刷に反映できるプレートである」と評価している。

 

速乾印刷の実践により、早くお届けできる印刷物、ツヤがあり美しい印刷物、コスレのない安心の印刷物をお客様に届けることができるようになった。お客様サービスは各段に向上しているが、今後も研究を重ねながら更なる速乾印刷の追及は続けられていく。

 

「速乾印刷により、お客様、自社、社員、パートナーメーカーの全てがWin-Winの関係であり続けたいと願っている」と佐川社長は速乾印刷が企業や業界にもたらす大きな効果に更に期待を寄せている。