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サンケイ総合印刷株式会社

品質向上、損紙も低減

「アズーラ速乾印刷」習得

日本印刷新聞 2015年3月30日号掲載 

 

 インキ乾燥時間が早まるだけでなく、インキ濃度や網点再現性が良くなることによる品質の向上、印刷スタート時の色出し・色合わせの早さによる損紙低減をはじめとしたさまざまな効果を生み出す、日本アグフア・ゲバルト㈱が提唱する「アズーラ速乾印刷」。サンケイ総合印刷㈱(本社・埼玉県戸田市喜沢南1の5の43、高橋信博社長)でも昨年10月、アグフア社製の現像レスCTPプレート「アズーラTS」の採用および「アズーラ速乾印刷」を習得し、自社の能力をより高みへと成長させた。

   

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 川口副本部長

 

 同社は、新聞印刷などを主品目とする印刷会社と一般商業印刷を主品目とする印刷会社とが合併してできたことから、新聞、フリーペーパー、書籍、教科書、図録、ポスター、カレンダー、一般商業印刷物と、営業品目がとても広範にわたる印刷会社。そのため印刷機のラインナップもバラエティに富み、オフ輪はA列1台とB列はカラー機2セット・モノクロ機3セットの5台連結、枚葉印刷機はダブルデッカーの菊全判10色機、菊全判4色機、菊半裁4色機を取り揃える。

  現在、CTPは国産機を2台設置しており、プレートについては通常の現像を要するタイプを用いていた。それを昨年10月、1ラインを現像レスの「アズーラTS」専用のラインへと変更した。同社製作本部の川口泰弘副本部長はその理由について、「その頃、印刷技術の成長に停滞感があり、さらなる品質安定性を求めて、現像という不安定要素がない“アズーラ”に着目した。目視検版ができて使いやすいことに加え、環境配慮面で進化できることも採用の一因だ」と語る。これまでは、現像液は使うほどに活性度が低下し、それによりプレート上の網点再現がブレていたが、現像レスの「アズーラTS」にしたことで、網点再現が常に一定で品質が安定するとともに、面倒な現像液の管理・清掃からも解放された。

 
  同社が「アズーラTS」を採用したのにはもう1つ目的があった。それは、印刷技術をさらなる高みへと到達させるべく「アズーラ速乾印刷」に挑戦することだ。これは、油性インキでの枚葉オフセット印刷において、しっかりと水を絞ることでインキを早く乾燥させる手法だ。「油性インキですぐに乾燥するなんて、嘘もしくは大袈裟に言っているだけだと思っていた。しかし、すでに速乾印刷を日常的に行っている会社を見学させてもらうと、驚きとともに当社でもできるのではないかとも思った。インキがすぐに乾き、しかも品質向上やコスト削減が図れるのならば、やらないのは損。経営陣も積極的に後押ししたので踏み出しやすかった」(川口副本部長)  

   「アズーラ速乾印刷」への取り組みは、印刷機を新台の状態へと近づけるリセット作業(集中メンテナンス)から始まる。同社ではまず、3台の枚葉印刷機で行った。日本アグフア・ゲバルトのコンサルタントの指導の下、全印刷オペレーターが参加して4日間かけ、ローラーの親油・親水処理、ニップ調整、ゼロ点調整などを徹底的に行い、その翌日から速乾印刷をスタートした。「速乾印刷をすると地汚れが出やすいだとかメンテナンスが大変だという否定的な噂を聞いていたので、不安な気持ちでスタートした。実際にやってみると、最初の2~3ジョブこそ水幅を掴むのに苦労したものの、オペレーターからは“意外と刷りやすい”という声が返ってきた。従来のプレートとは、絞れる水の量が明らかに違い、衝撃を受けた。従来のプレートを併用するとジョブによって水幅が全然違うため印刷事故に繋がりかねないので、枚葉印刷機で使うプレートはすべて“アズーラTS”にした」(川口副本部長)

   

 

 

 

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既存のCTPにアズーラ用のクリーニングユニットを接続している

 

 枚葉印刷機に続いて昨年11月からはA列のオフ輪でも取り組み、枚葉印刷機では全ジョブで、A列のオフ輪では20万部未満のジョブはすべて「アズーラTS」を使って速乾印刷をしている。枚葉印刷機では、パウダー使用量が半分以下に、少ないインキ量でも濃度が出るのでインキ使用量も約2割減少。印刷機の色出し反応も早くなることから損紙枚数も減り、A列のオフ輪では2000枚から1000~1500枚程へと減った。インキの乾燥が早いので、裏移り、コスレ、ブロッキングといった印刷事故が激減するとともに、オフ輪ではドライヤーの温度を10℃下げた「低温乾燥印刷」も行う。さらに、出荷前検品も印刷後すぐにできるようになった上、1枚1枚ではなく積み替えながら検品する程度で問題なくなった。「速乾印刷を習得したことで、短納期対応よりも作業スケジュールに余裕ができたことが大きい。たとえばトラブルにより急遽仕事が入った時、これまでなら後工程に残業を強いていたが、一般的なコート紙の仕事ならば刷了したものを運んでいる間に乾いているものもあるので、すぐに次工程に回せて柔軟なスケジュール調整ができる」(川口副本部長)

 同社の最大の狙いである品質向上についても大きな成果が得られている。「これまでも印刷時に水を絞っていたつもりだが、水の切れ方が全然違い、枚葉印刷機では半分位に抑えられている。その結果、濃度が出ることに加え、モワモワしていた網際がクッキリした。また、ファンアウトが起こりやすかったダブルデッカーの両面機では、紙によっては片面ずつ刷っていたが、今ではそれもない。これだけ水の切れ方に違いがある以上、“アズーラ”でなければ速乾印刷はできないのだろう。3月からはB列のオフ輪でも始めたところ、モノクロ機はノンヒートのため新聞の折った部分に汚れが出やすいのだが、それがない。とくにモノクロだと差が歴然で、濃度ムラもなく劇的に品質が上がった」と同社の印刷技術の進化に役立ったと、川口副本部長はその効果を高く評価する。
 速乾印刷への高い評価は会社全体に浸透しており、速乾印刷を維持していくための印刷機のメンテナンス時間はスケジュールに組み込まれている。日常的には20分程度の清掃、ローラーの拭き取りなどを行い、常に印刷機の状態を見る習慣がついた。また、月1回、半日かけてメンテナンスを行うがそれほど負担はなく、逆に何らかの具合が悪くなるとすぐに気が付くようになった。「良い品質の製品を納品し、顧客にそれを評価してもらい、さらに仕事が頂けるような循環ができればいいと思う。そのための種がこの速乾印刷によって蒔かれた。営業スタッフも品質に自信を持って売っていける。コスト削減効果とあいまって、大きな会社の武器になると期待している」(川口副本部長)

 

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