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株式会社サンエムカラー

アズーラの網点品質に驚きと感動

2014年1月1日付 日本印刷新聞掲載 

新春対談

株式会社サンエムカラー 松井 勝美 相談役

日本アグフア・ゲバルト株式会社 松石 浩行 社長

 激変する経済環境の中で勝ち残っていくために印刷業界も業態変革を始め自社に最適な様々な創意工夫を凝らし、顧客の要望に応えながらも利益を生み出す方法を模索している。

このような状況下、顧客の短納期の要望に応える方法として登場したのがUV乾燥装置を用いての速乾印刷である。しかし、昨年、「投資リスクも無く、今すぐに出来る、経営革新方法」として油性印刷機による速乾印刷技術を提唱し、業界に一石を投じこの一年半で瞬く間に20社以上の「経営を革新」してきたのが日本アグフア・ゲバルト(株)(本社・東京都品川区、松石浩行社長)の現像レスプレート:Azura TS(以下、アズーラ)と、同社が行なっている速乾印刷立ち上げのためのコンサルティングである。

 

 

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松井相談役 

 

「油性速乾印刷技術」は、「生産コストの大幅削減と生産性のアップ」を実現し、印刷会社の印刷現場を「劇的に変化させ」、即座に「経営を革新する」に直結する、と昨年は業界でも大きな話題となった。そしてこの「油性速乾印刷技術」の根本を支えるのが「水の絞れる現像レスCTPプレート:アズーラ」の品質性能と印刷機の正しい使い方だという。

そこで今回は日本アグフア・ゲバルトの松石社長とアズーラの性能を高く評価する日本屈指の印刷技術で知られる株式会社サンエムカラー(本社・京都府京都市、松井一泰社長)の松井勝美相談役に速乾印刷を実現するアズーラの品質と正しい印刷技術、そして将来を見据えた印刷のあるべき方向性について語ってもらった。

   

安定感が魅力「アズーラ」

技術と知識で差別化

 

 --サンエムカラーさんは、日本でも屈指のハイレベルな印刷技術を持つ印刷会社として有名ですが、会社の生い立ちやお仕事内容などをお聞かせください。

 松井 当社は1985年に、大和印刷株式会社で機長をしていた私が、「単に価格で受注するのではなく、自分の納得できる印刷品質を提供し、それに見合う正当な価格で購入頂く」ことを実現したく思い、当時、高価だったハイデルベルグの両面4色機1台を購入し、独立した会社です。

現在は6色機1台、5色機5台、そしてLED-UV(後付)機を2台設備するまでになりました。

 商品や製品のカタログ・ポスターから特殊な技術を要する写真集・図録・書画のレプリカなどの、企画、撮影、編集、印刷、そして関連協力会社による製本、仕上げにいたるまで、高度な技術を要する印刷物は勿論のこと、クリエーターの表現力を生かすために、時には、独自のノウハウをもとにアナログとデジタルを融合させた、製作(印刷)も行っています。ある意味、他社では印刷できないようなものも出来る、ということで、お客様の駆け込み寺のような存在にもなっています。

 --サンエムカラーでなければ駄目だという著名なカメラマンやデザイナーが、日本のみならず海外にも数多くいて特に最近は、アジアを含む海外からのご注文も多いそうですが・・

 松井 ありがたいことです。当社のクライアントの皆さんは、色にこだわりのあるお客様ばかりです。気を抜くことは許されませんので、日々、工夫と努力を重ねて熱意を持って改革し続けています。理想の色再現をするために時には色分解から画像処理の調整が必要な場合が多くなっています。そのため、最近では見られなくなったドラム式のカラースキャナーも特注し、所有しています。お客様のご要望にお答えするため、また、品質に妥協しないために、自分達で、納得できる理想的な色再現を行うために、出来る限りのことをやっています。先日、台湾から大きな注文を頂きましたが、その印刷物も非常に品質にこだわったものです。品質にこだわるお客様と言うのは、日本だけでなく、世界中に居られると思います。

 松石 アメリカやヨーロッパ、そしてアジアからでも、「最高の印刷物を作るため」に、サンエムカラーさんに大きな発注が出るというのは日本の印刷技術は、まだまだ捨てたものではないという嬉しい話ですね。そんな中で、逆に熾烈な価格競争に陥っている国内の印刷業界を、どう思われますか?

 松井 我々の業界は、スピード・価格・品質等の全ての点で、厳しい競争下にさらされて居り、弊社も決して例外ではありません。特にネット受注などで、急成長されている印刷通販会社などには、正直、ついて行くのは大変です。毎日試行錯誤です。しかし、だからこそ、優れた技術と知識は積極的に導入していかなければ、技術と知識で差別化を目指す会社としては、先頭を走れなくなります。

 -- 先陣を切って新しい技術を導入することは、常に現場にも経営的にもリスクを伴いませんか?

 松井 技術者が新しい技術や能力開発にチャレンジする熱意がなくなったら、会社はその時点で終わりです。サンエムカラーは、私を含めて社員一人一人が成長するためにも、常に新しい技術に積極的に取り組むことを社是としています。というよりも新しい技術にチャレンジしている時こそ、ドキドキわくわくして、毎日楽しいものです。

 松石 75 歳を超えられても、社内で新しい技術の導入に最も積極的なのが松井さんですね。サンエムカラー様にはこのたびアグフアの現像レスCTPプレートアズーラをご採用頂いた訳ですが、従来お使いの現像タイプのプレートから現像レスのアズーラに切り替えられた理由を教えてください。

 松井 当社のクライアントは他社以上の印刷品質を求めて、当社に発注されています。従って、CTPプレートに形成される網点の1~2%の誤差にも神経を使います。従来の現像タイプのプレートは網点管理が非常に難しく、現像液の状態や室温の変化によって、CTP上では同じ条件で出力したプレートでも、現像工程を経ることで網点が理論値より数%ブレるのは当り前でした。せっかく、理想的な色分解をして製版した結果が、現像することによってプレート上では異なる網点になってしまうのです。したがって少しでも理想的な網点結果を得られるよう、現像液の温度管理は勿論のこと、室温の管理も徹底していました。CTPセッターのキャリブレーションも一日に何度となく行っていました。           

しかし、この現像レスプレートアズーラはケミカルによる現像処理が不要のため、常に理論値通りの網点形成が保証されています。つまり、製版段階で予想した通りの、つまり理論値通りの網点が、1%の狂いも無くプレート上に再現されるため、絶対的な安定度を維持できることが大きな魅力でした。

 松石 たしかにせっかく、正確な色分解をし、カラーマネージメントを行っても、肝心の網点が変化しては元も子もないですね。印刷品質に厳しい他の印刷会社様でも、カラーマネージメントも印刷機のメンテナンスも完璧にできるのに、現像液の経時変化については皆さん苦労されています。

 松井 現像という化学変化を使って、網点形成している限り、この網点誤差の問題は、解決できないと思います。現像レスのプレートは、この問題を一挙に解決してしまいました。技術の進歩は凄いことです。ただ、当社がこのアズーラを採用した最大の動機は、環境問題です。我々印刷会社は、今後ますます環境問題に積極的に取り組まなければなりません。日本全国の印刷会社で排出されている強アルカリの現像液の総量を考えると、恐ろしいことです。我々は、早くこの廃液を無くさなければなりません。現像レスへの移行は時代の要請でもあり、印刷会社として導入することは社会的義務だと考えます。ですから当社がアズーラを採用したのはこの環境対応のためだったのですが、その副産物の一つとしてアズーラでは網点がまったくブレないということが分かり、大いに喜びました。本当に嬉しい、大きな副産物でした。

   

格段に品質アップ

よりいっそうの耐刷性期待

 

 -- アズーラを導入した事で他の副産物もありましたか?

 松井 アズーラを導入した結果、印刷品質そのものが格段に良くなったことです。これには、当社のクライアントともども、驚いています。アズーラは砂目が細かく浅く作られているため、印刷をする側にとって導入当初は、多少慣れる必要はあるが、このアズーラの細かく浅い砂目によって、極めて高品質の網点が出来ることに気が付きました。今までのCTPプレートはどんな印刷会社でも使えるように作られた為か、印刷を安易にすべく砂目を深くしている傾向にあるが、これでは本来の美しい網点形成は期待できません。

砂目が深いと、悪い意味で保水性が良くなるため印刷中の汚れは軽減できるが、乳化を防げず、インキ本来の色が再現できなくなるのです。我々印刷会社は印刷のプロなのだから、「印刷することが“簡単”かどうか」でプレートを選択してはいけません。実際に、一度アズーラを使用して印刷をしたクライアントからは、「次も同じ版(アズーラ)で」という指定も入ることも珍しくありません。

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 松石社長

   
  松石 従来から、印刷品質には定評のあるサンエムカラー様が、現像レスプレートのアズーラを導入されたことで環境対応を実現し、かつ、印刷品質をさらに上げられたことにアグフアとしては、大変な誇りを感じます。

 松井 現像レスプレートのアズーラの品質が特に顕著に現れるのは、FMを使った場合です。アズーラの導入によって、印刷のオペレーターやサブが、余裕を持って、安定して、FMを使用した印刷物を供給できるようになりました。弊社は、ジャパンカラースタンダードよりも遥かに高濃度・高彩度・高明度の印刷物を求められることがしばしばです。その場合は、必ず、FMとアズーラのコンビでご要望にお答えしています。

印刷品質の向上に、限界はありません。FMスクリーンもそうでしたが、新しい技術は品質の向上を助けてくれます。現像レスプレートのアズーラによって、当社の印刷物は更に品質が良くなりました。大事なのはこういう新しい技術を積極的に取り込む挑戦意欲です。

 

 松石 アズーラに対しての今後の改善点やご要望もお聞かせ下さい。

 松井 期待することは、より一層の対刷性ですね。「アズーラ」は、従来の油性インキを使用した場合は、全く問題ありません。10万枚の対刷が、あるので十分です。ただ、LED UV 印刷機で使用した場合、印刷機側のメンテ次第では、対刷性が、弱くなる場合が時折見受けられます。これが解決すると、LED UV 用に対しても、アズーラは、最も理想的なプレートになります。当社も最大限の協力しますので、共により良いアズーラを作って行きましょう。アグフアさんのことですから、すぐに出来ると期待しています。

 松石 はい。本社の開発陣もアズーラについては、コア商品として、最も力を入れています。 つい先月も対刷性を大幅に向上させた、新聞社向けの「アズーラ NEWS」という、新しいCTPプレートを発表しました。現在ご使用の、商業印刷向けのアズーラも改良される筈ですので、ご期待下さい。

 松石  印刷技術の向上には、オペレーターの皆さんのスキルが非常に重要になってきます。ところが、残念なことに、最近、その印刷機のオペレーターのみなさんの中には、印刷の基本的な事さえも、間違って理解しているのではないかと感じる事が多いのですが、松井さんはいかがお考えですか?

 松井 たしかにそういう面は感じます。しかし、これはオペレーターだけではなく、印刷情報産業全体にも責任があると思います。つまり、誰でもただ簡単に刷れることばかりを考える印刷会社が多くなりすぎたことが背景にあるのではないでしょうか。正しい印刷理論や印刷技術を学ぶことなく、それを学んでいない社内の先輩から経験値だけの伝授が普通です。そういう意味では、印刷機械メーカーや印刷学校と名乗る団体などが、本来のあるべき正しい印刷技術を真剣に啓蒙しなければならないのに、それが十分に出来ているのかと思うことがあります。さらに業界の全てではないがコンサルタントや団体といわれるところが、一生懸命「間違ったことを教えている」ことも、日本の印刷技術を後退させていると思います。

 先日、どこかのセミナーで「どこのCTPプレートで印刷しても品質に差が無かった」というような発表をしていたが、プレートの砂目構造やその製造原理さえもが異なるのに、印刷した結果が品質的に同じである訳が無い。このような誤った発表によって業界がミスリードされていると思います。

 松石 私もこの発表には呆れました。そして、そういう間違った考えを、堂々と、紙面で公開されたり、全国で講演されていることも驚きです。

 実は、我々は、数年前から、単にCTPプレートだけを販売していて良いのだろうか、と疑問を持ち始めていました。プレートメーカーはプレートを販売することだけを考えていれば良い、という人もいます。しかし、同じメーカーの印刷機械・プレート・エッチ液・インキを使用しているにも関わらず、会社やオペレーターの差によって印刷品質にあきらかな差が出るのは何故か?とずっと疑問でした。印刷業界に身を置く人間として、それを「オペレーターの腕の差」という言葉だけで、簡単に片付けて良いとは思えなかったのです。「印刷技術が素晴らしい」と言われるサンエムカラーさんも他と違う印刷機を使っているわけではありません。

 そして印刷品質の差とは、印刷機械の管理を含めた、ノウハウの差なのだということに、遅まきながら気が付いたのです。

松井 「簡単に刷れる印刷機、インキ、エッチ液、プレート」を追い求める印刷会社というのは、例外なく印刷機のメンテナンスはいい加減で、印刷品質も良くないということは簡単に想像できます。我々印刷会社は、技術者なのです。真の技術者とは、「群れてはイケない。現状に慣れてはイケない。頼ってはイケない」のです。印刷会社の殆どは、「他社の使っているもの、使い慣れているもの、メーカーの言いなり」になりがちです。その結果、多くの印刷会社が特徴の無い、技術力の不足した会社になって行くような気がします。我々は安易な方向に妥協しないで、正しい使い方に従って、印刷機を使わなければならないのです。

それが出来ていない印刷会社が多いのではないかと思っています。

 

 

 松石 土地建物・製版設備・印刷機など、巨額の投資をしていながら、それらを最大限に使いこなすというノウハウの獲得に無頓着な会社が多いのは事実ですね。

 松井 そういう印刷会社は、本当の意味でのプロとしての印刷会社の経営者とは言えないと思います。我々は、数億円もする印刷機をただ使うのでは無く、その能力を100%発揮させるプロなのだという自覚を持ち、ノウハウを獲得するための勉強もしなければなりません。印刷機本来の性能を発揮させるために、自分は何を知り、どのような材料を、どのように使うべきかを学ばなければならないのです。印刷機や設備はお金を出せば購入できます。大事なことはそれにかかわる真のノウハウの獲得なのです。どこの業界でも同じですが、その道のプロが自分の使う道具を“ただ簡単に使える”、という基準で選択しますか? あり得ないでしょう。

松石 同感です。

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松井夫妻

   

必要な正しいメンテ

チャレンジ精神持とう

 -- 日本アグフア・ゲバルトでは「速乾印刷セミナー」などを通じて、印刷機のメンテンスの重要性を熱心に訴えていますが、今までこのような活動をするメーカーはありませんでした。活動を始めた直接的な動機は何だったのですか?

 松石 お客様に「アズーラを使った速乾印刷による経営革新」をご紹介していく中で、大きなこと事実を知ったのです。つまり、サンエムカラーさんのように、印刷機のメンテナンスをしっかりされているお客様ですと、従来の現像有りプレートとアズーラの速乾性能の差を明らかに体感頂けますが、印刷機のメンテナンスをしっかりされていない印刷会社さんでは、その差を十分に体感できないのです。アズーラという素晴らしいプレートの品質を、本当に解っていただくためには印刷機のメンテナンスが必要だ、と気がついたのです。ですから、今、一生懸命、印刷機の本当のメンテンスの方法を啓蒙しています。この部分は赤字事業ですが、仕方ありません。

 -- サンエムカラーさんでも正しい印刷技術を啓蒙するために考えられている事はありますか?

 松井

まだ公表できる段階ではありませんが、私が半生をかけて培った「正しい印刷技術」や「印刷への思い」を、同じような考えを持つ諸先生方と共に若い人たちへ残して行かねばと考えています。このままでは間違った印刷機の使い方や理論が業界に蔓延してしまい、ますます業界を堕落させてしまいます。それにどうしても歯止めをかけたいのです。ここはアグフアさんにも、大いに協力をお願いしたいと思います。

 松石 はいよろこんで。

 松井 私は、印刷を通じて、日本の印刷文化発展のために、貢献できることが沢山あると思っています。いや、社会貢献しなければならないと思ってやっています。例えば、源氏物語絵巻の印刷著作権を買い取り、カレンダーを始め様々なグッズを作り京都市内の寺院へ提供しています。印刷物というのは、心(ハート)を込めて、かつ、しっかりした技術で制作すると芸術品にまで価値を高めることが出来ると思います。それがまた印刷技術者としての仕事のやりがい、誇りでもあるのです。源氏物語に限らず、日本・海外の文化の普及に役立つことで、お声が掛かればどこへでも飛んで行っています。

 -- なかなか景気回復が見られない印刷業界に対して一言お願いします。

 松井 印刷業界は景気が悪い、悪い、と言うが、これは印刷会社にも責任があります。印刷会社自身も独自のコンテンツを持ち、その独自のコンテンツを軸に、企画制作した商品を、世にプレゼンして行く気構えが必要です。ただ、費用のかかることですので、忙しいばかりで、なかなか利益に結びつきませんが、自社のコンテンツを積み上げることによって、自社の土台は、年々しっかりしてきます。こ自ら常に新しい需要を作る努力は、絶対に必要です。そして、新しい需要を作るには常に失敗を恐れないチャレンジ精神も必要です。チャレンジすれば、アイディアが自然に出てきます。そしてそのアイディアを実現するには、技術的な工夫が必要で、その工夫の中から新しい技術が生まれ、自社の物となるのです。絶対的な技術は次の受注へと繋がり結果として、社員にとっても大きなモチベーションになります。

 松石 アズーラを使用して速乾印刷を確立されたユーザー様は、技術力のある、しかもサンエムカラーさんのような「群れない、慣れない、頼らない」お客様ばかりです。今年も「アズーラ速乾印刷セミナー」を通じ、アズーラの品質の高さと印刷機本来の性能を引き出す正しいメンテナンスをどんどん啓蒙し、アズーラ速乾印刷でお客様の経営を革新するお手伝いをしていきたいと思っています。

   
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