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株式会社トキワメディアサービス

現像レスで品質向上
小回りの効く環境構築へ

 

日本印刷新聞 2012年3月26日号掲載 

 

 『小ロットモノクロページ物印刷』というフィールドに特化した営業をしている㈱トキワメディアサービス(本社・東京都千代田区、江月章社長)。たいていの印刷会社は進出したがらないこのフィールドで利益を上げていくには、それに適した生産ができる仕組み作りが重要となる。

 

 そこで同社では、『小ロットモノクロページ物印刷』で利益を生み出すことができるよう、小回りの効く生産環境の構築および改善を継続的に進めている。

 

 その取り組みの一環として、昨年3月、アグフア社製菊全判サーマルCTP「アバロンLF」、現像レスCTPプレート「アズーラTS」、プリプレスワークフローシステム「アポジー7」を採用し、このフィールドでさらなる活躍をするための能力向上を図った。

アバロンLF

アバロンLF
 
   

 同社は元々、印刷、複写、建築設計、管理の4事業を展開していた㈱トキワコーポレーションから、印刷・複写事業を分社化して立ち上がった会社。平成17年の創業時は総合印刷業者として営業していたが、将来を見据えた上での生き残り策を考え、『小ロット(1-3000部)モノクロページ物印刷』の社内一貫生産に特化することを選択した。当時は6ヶ所あった事業所も、東京・神田(オンデマンド部門)と埼玉・朝霞(オフセット部門)の2ヶ所に集約。オフセット部門の朝霞事業所では、すべて同機種の菊全判両面兼用2色機を4台備え、『小ロットモノクロページ物印刷』の道を極めるためのスタートを切った。
 同社で生産している印刷製品は、学習塾などで使われる教材関連のものが約8割を占める。納めた印刷製品が使われている現場でどのようなニーズがあるかを調査し、そこで得た情報を分析して生産環境の改善に繋げている同社ではこれまでも、▽ホットメルトを応用して、テキストを折り単位で取り外すことができるようにしたことで、必要となる単元ごとに学習できる『剥がれスクラム製本(実用新案特許取得)』、▽無線綴じした本から1枚1枚を簡単に剥離できるように加工し、テキストに直接記入して提出物にすることを可能にした『剥がれ無線製本』――などを開発してきた。それに続く、顧客ニーズに基づいて挙がった生産環境改善点がCTP化だった。


 同社の主要顧客である学習塾は、これまでフィルムや版下で入稿していた。そこで同社ではフィルムセッターやリスマチック・ページネーターを設備し、テキスト改訂時は切り貼りをして対応、ほかの顧客からデータ入稿があった場合は協力会社にCTP出力を外注して対応してきた。しかし昨年春、主要顧客がテキストの全面改訂を行うにあたり、データ化移行の相談を持ちかけられた。顧客ニーズを踏まえた生産環境改善をモットーとする同社は、すぐにCTP導入を決め、アナログシステムを主とした製版工程からの転換を図った。同社の江月社長は、「CTPを導入するにあたり、もっとも重要視した点は印刷品質向上だった。CTPの導入は初めてだが、フィルムセッターで自動現像機を使っていて現像液の劣化による品質変化や温度管理が負担になることは理解していた。そこで品質安定性を考え、現像レスCTPプレート“アズーラTS”とサーマルCTP“アバロンLF”の組み合わせを決断した。また、これまでも環境に配慮した工場環境を作ってきており、その流れからも現像レスの選択は必然だった」と採用の経緯を語る。

   

 実運用の面では、これまでもフィルムセッターを使ってデジタルデータの運用をしていたので、その出力先をフィルムセッターから「アバロンLF」に切り替えるだけで、大きく社内フローを変えることなくCTPの運用が立ち上がった。「初めてのCTP運用であるものの現像レスなので比較的簡単で、かつ露光したプレートの視認性にも優れているので現場としても扱いやすくて助かっている」(同社・制作製版課の鈴木毅課長)
 同社が請け負う教材関連の印刷物は、納期が厳しい。それがCTP導入によってプリプレス部門の所要時間が大幅に短縮。さらに、刷版が用意できる時間がはっきりとわかるようになったので、印刷以降の工程のスケジュール管理がしっかりとできるようになった。「主要顧客がテキストの全面改訂をした月に、月間で6000版を出力した。これまでのやり方ではこなすことができなかっただろうし、外注をしたとしても版を持ってきてもらう時間がわからないので印刷工程以降のスケジュールも作れず、さらにコストも高くついたはずだ。少子化による小ロット化の進展、教材のアイテム数増加という点から、モノクロ印刷だけであっても相当数の出力が必要になると予測されるので、もはや無くてはならない設備だ」と、同社の桑田祐治取締役営業本部長は「アバロンLF」導入の意義と効果を表した。

 左より桑田取締役、江月社長、鈴木課長

左より桑田取締役、江月社長、鈴木課長

   

  同社ではCTP導入と同時に、ワークフローシステム「アポジー7」も採用した。「アポジー7」は、印刷条件に合わせてその場で面付けを自動作成する機能「アポジーインポーズ」を搭載しており、それを活用することで同社では面付け作業に人手を介することがなくなった。また、画面上で網点確認ができる点、RIP済データでも面付けし直せる点から、作業性がスムーズになり、いっそうの作業時間短縮が図れている。さらに今後、Webを活用して校正をしたいというニーズを受け、Webを使った校正システム「アポジーポータル」も導入予定。同社の印刷製品はモノクロなのでモニターによる色再現のブレもないことから、モニター上で校正作業を完結できるシステムの構築を目指す。
 CTP導入により、大量のフィルムを保管するためのスペースが不要となった。「顧客ニーズを調査・分析するためには、単に印刷製品を納めるだけでなく、配送そして印刷物の使用者へのアンケート/市場調査まで手掛けなければならないと思っている。そのための第一歩として、今までフィルム保管スペースだった場所を使って、印刷製品のパッケージング・アッセンブリーをするサービスを展開していきたい」(江月社長)と、CTP導入による効果を、次なる展開に繋げていく見通しを立てている。