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株式会社ヤマテ・サイン

ヤマテ・サイン、瞬発力強化で利益率向上 - 特殊印刷機能で「平米単価」脱却へ

 

フラットベッドUVインクジェット|JETI MIRA/ANAPURNA 導入事例

印刷ジャーナル 2022.3.25 掲載

『想い』をカタチに」−−装飾・サインディスプレイの分野でデザイン・設計から制作・施工までを手掛ける(株)ヤマテ・サイン(東京都板橋区小豆沢2−22−15、安川重理社長)は昨年10月、「制作の効率化」と「利益率向上」を目的にアグフアのハイエンドフラットベッドUVインクジェットプリンタ「JETI MIRA LED MG2716」を導入。複合カットマシン「ZUND」との効率運用でさらなる「瞬発力」を追求するとともに、「厚盛り」「3Dレンズ印刷」といった特殊印刷機能による「付加価値表現」の訴求で新たな市場づくりを目指す。

こだわり続けてきた「直接取引」

ヤマテ・サインの創業は高度経済成長期の真っ只中にあった昭和39年。シルクスクリーン印刷事業を主体とする「山手プロセス」として、創業者・安川康昭氏が東京・板橋の地で起業したことに、その社歴は始まる。

 創業以来、同社が一貫してこだわってきたのは、最終クライアントとの「直接取引」だ。その理由について安川社長は、「最前線のニーズをダイレクトに聞き、その生の声を事業に反映させることがビジネスの根幹。その一歩先まで出てしまうと潰されるが、半歩先を行くことで顧客満足を最大化できる」と説明する。その創業者のこだわり「ヤマテイズム」は、いまなおDNAとして脈々と受け継がれ、現在の顧客リストには、大手百貨店や大手家電量販店が名を連ねている。この「直接取引」で養われた企画提案力は、同社のこれまでの成長エンジンとして機能し、上場企業を含む大手企業との取引実績は、自社の「ブランディング」にも繋がっている。

 同社の最大の強みは、デザイン・設計から制作・施工までの一貫体制にある。また、ヤマテ・サインは、シルクスクリーン印刷をベースに屋内装飾が強い「山手プロセス」と、屋外看板が強いグループ会社「レタセン」の2社が事業統合して生まれたことから、屋内外の案件をワンストップで対応できるのも大きな企業価値となっている。

 「当社のような都内で50名規模の会社で、デザイン及び設計、制作、施工の3点セット、ましてや屋内外両方のノウハウを持つ会社は少ない」(安川社長)

 ちなみに、社名の由来は、山手線のように「終着駅がない=商売に終わりがないように」、「環状線である=社内の輪を大切に」という創業者の「想い」が込められているという。

 
YamateSign_2022_2_500x375.png「付加価値表現」訴求で新たな市場づくりを目指す(安川社長(中央)、日向部長(右)、池田課長)

「ZUND」との効率運用で投資効果高める

 同社はおよそ7年前、現在地への本社移転を機に、シルクスクリーン印刷の設備をすべて廃棄し、出力デバイスをインクジェットプリンタに集約している。その決断の背景について安川社長は、「シルク印刷とインクジェット出力のコスト、料金差が広がるなか、催事など数週間のイベントならインクジェット品質でも容認されるようになった。一方で、インクジェット技術やプリンタのスペックが日進月歩で進化する状況を見て、シルクスクリーン印刷から手を引いた」と当時を振り返る。

 そんな同社が、装飾ディスプレイ事業の新たなステージを目指して導入したのがハイエンドフラットベッドUVインクジェットプリンタ「JETI MIRA LED MG2716」だ。昨年10月に納入設置され、すでに商業ベースで実稼働に入っている。

 それまで同社のインクジェットプリンタ設備は、溶剤系4台、UV系1台のすべてがロール仕様であったことから、「以前からフラットベッド機への投資を考えていた」(安川社長)という。当初の狙いは、従来の仕事の「効率化」と「利益率向上」。とくに、数年前に導入した複合カットマシン「ZUND」の有効活用で投資効果を高める狙いがあった。従来は、溶剤系プリンタで塩ビに印刷、半日乾燥させてからラミネートし、それをパネルに貼り込んでカットするという工程だった仕事も、JETI MIRAで直接ボードに印字してZUNDでオートカットするだけ。手作業や工程を省くことで効率化、利益率向上に繋がるわけだ。

 フラットベッド機に絞った投資において、機種選択のポイントはどこにあったのか。制作部の池田朋浩課長は、「担当営業への信頼」を理由のひとつに挙げている。

 「生産性(最高248平方メートル/時)と描画性(解像度1,200dpi)というマシンスペックの優位性はもちろんだが、前職の営業として以前から当社とつきあいのあったアグフアの担当営業・今林信二氏への信頼も機種決断の大きな要素だった」(池田課長)

 また、安川社長も「現場が決めたものを導入する。それが『高い・安い』ではない。私もアグフアは『自社を成長させてくれるメーカー』として信頼を寄せている」と評価する。

 一方、投資効果における「生産の効率化」について営業部の日向健部長は「営業から見ても制作が早くなったと肌で感じている。イレギュラーで突発的なジョブに対して瞬発力が高まったことを、クライアント側でも実感いただいている」と評価する。

 
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販路拡大の戦略機として期待を寄せる「JETI MIRA」
 

JETI MIRAは「勉強になる機械」

「圧倒的な生産性」に加え、「新たなアプリケーションへの開発意欲を掻き立てるプリンタ」として高い評価を得るJETI MIRA。その代表的な特殊機能が「白インクの厚盛り」と「ニスを使った3Dレンズ印刷」である。もちろんヤマテ・サインでも、この「付加価値創造機能」は機種選択を左右する大きな要素となった。


 「白インクの厚盛り」は、言うまでもなく、実際のデザインの質感や凹凸感をリアルに表現できる。また、3Dレンズ印刷とは、専用のソフトウェアを使い、視覚効果によって立体的な表現を実現するもの。裏に6色+白を印刷した後、表にクリアニスで小さな球状のレンズを印字することで3D効果を表現できる。

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厚盛り印刷機能で作成した「お花のアート:花手水(はなちょうず)」
 
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3Dレンズ印刷の自社サンプル
 

 同社でもこの特殊印刷サンプルを作成し、クライアントにアプローチしている。日向部長は「お客様からは『すごい。これは印刷なのか?』という驚きの声があるが、まだそこまでに留まっている。重要なのは『こんなことに使えないか』という具体的な商材への落とし込みである。幸いにも直接取引に徹する同社には、その声を生で聞けるというアドバンテージがある。ようやく運用面も整いつつあり、価格設定なども精査していく」とし、営業、制作がタッグを組み、新しいビジネスモデル創造に向けてブラッシュアップしていくことに意欲を示している。

 
 また、安川社長は「よりリッチ(付加価値)な商材を売るには、ターゲットを絞り込んだ営業アプローチが必要である」と指摘する。そこで日向氏は、複製画の分野に着目。画廊や作家とのタイアップも視野に入れ、実績を積んでいきたいとしている。また、安川社長はブライダル業界にも着目。人生の一大イベントに潜在するニーズの掘り起こしにアプローチしているという。

 
 一方、制作側の立場として池田課長は「特殊印刷をより広く売っていくためには、我々制作側もいままでにない智恵と工夫が必要だと痛感している。その意味で、JETI MIRAは『勉強になる機械』だと捉えている」と話す。

 
YamateSign_2022_6_500x404.png上得意様向けダイレクトメールに厚盛り印刷

ECサイトの立ち上げに着手

 JETI MIRAの導入は同社にとって、フラットベッド機による平米コストの削減(利益率向上)と同時に、特殊印刷機能による「平米単価からの脱却」という両面からの期待を背負っていると言えるだろう。


 「これまでの57年間、大手百貨店や家電量販店にお世話になることで当社は成長してきたが、今後はその守備範囲を他業界へと拡げ、新たな事業の柱にしたい。その戦略機としてJETI MIRAに期待を寄せている」と安川社長。その新たな展開として、現在ECサイトの立ち上げに着手しているという。


 日向部長は「ネット上における受注販売+商品販売を通じて付加価値を提供できるプラットフォームを立ち上げ、ロールメディアにおける『平米単価からの脱却』を目指したい」とし、JETI MIRA導入によるBtoCビジネスの可能性にも挑戦していく考えだ。

 

会社紹介

株式会社ヤマテ・サイン

代表取締役 安川重理

創業  1964年

資本金  3,245万円

業務内容 

  • 各種サイン・ディスプレイ演出・
    販売促進ツールの設計・制作・施工

株式会社ヤマテ・サインホームページ