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北埼ダンボール工業株式会社

 

アグフア・ワイドフォーマットUVインクジェットプリンタ「JETI TITAN」
什器・POPの生産を支援、プラダン利用の商品開発も

 

デジタル印刷ビジネスBOOK 2015年秋号掲載

 

多品種・小ロット化が進む

工業製品向けのダンボール

北埼ダンボール工業株式会社(埼玉県行田市)は、この9月、アグフアのフラットベッド・ワイドフォーマットUVインクジェットプリンタ「JETI TITAN」を導入し、小ロットダンボール、プラスチックダンボール(プラダン)の生産体制を強化した。同時にPOPや什器の生産で印刷会社を支援する準備を整え、さらにはオリジナル商品の開発にも力を入れていく。

DSC_1076.JPG 鈴木 一夫社長

 同社はダンボール販売業として昭和34年に創業。埼玉県行田地域は昔から足袋やスリッパ、被服といった縫製関係の生産が盛んである。同社は縫製関係のダンボールケースを主要業務とし、昭和40年に自社製造にも取り組み始めた。その後、縫製関係の製造が海外へと移っていったことから、新たに工業製品向けのダンボール製造を開始。工業製品の多品種・少量化需要を取り込み、自動車部品や電子部品、電機製品部品へと取引先が転換していった。

 同社の強みは設計からダンボール製造だけでなく、コスト重視、安全重視のニーズを吸い上げながら内容物に合わせた最適な素材、緩衝剤の形状が提案できること。内容物を見ればその場で形状が想像できるぐらいにノウハウを積み重ねてきた。
 同社のダンボールは、部品といっても精密部品の運搬に利用される。このため、ダンボールの内部に仕切りや折込みで内容物を固定する。年々、部品の形状が複雑化し、それぞれの部品にあわせたダンボールが求められてきた。かつてこれらダンボール生産の試作品はすべて手作り。手で図面を引いてカットし、折り込んでみるとずれてうまく行かないことがしばしば。何度も繰り返して試作品を作っていたのだが、多品種化が急速に進展したことで、複雑な形状のダンボールの試作が追い付かなくなった。
 同社の鈴木一夫社長は「中に入れる部品の形状が年々複雑になり、寸法もシビアになった。シビアでないと部品が固定できないからだ。手作業では無理が生じていた」と振り返る。平成17年、ダンボール業界に先駆けてCADとカッティングマシンを導入。複雑な試作品の制作スパンが一気に1週間も短縮した。これにより顧客の要望を取り入れてすぐにフィードバックできるようになり、大手企業の取引先から高い評価を得た。
 同社は紙のダンボールに限らず、プラダンケースも手掛けている。プラダンケースは主に、部品の収納や運搬に使われる。内容を表示するのに表面を印刷するが、以前は手作業によるシルク印刷で行っていた。多品種化、短納期化が進むにつれて生産が間に合わなくなった。
 当初はスクリーン印刷機などで自動化を検討。しかし、プラダンケースは需要の波があり、採算が合わない懸念があった。
 鈴木社長は「UVインクジェットプリンタであれば、プラダンケース以外の印刷もできる。試作品に色をつけて印刷したり、POPや什器を作ったりすることができる」と判断。平成23年に一号機を導入した。

   

決め手はプラダン素材への出力

 

ダンボール市場は通販需要を追い風に年々微増している。一方、工業製品向けのダンボールは減少傾向にある。国内での生産が求められる多品種、小ロットの工業製品以外の多くが生産拠点を海外へ移している。現在、円安などから国内回帰が進んではいるものの、鈴木社長は長期的に東南アジアへと生産が移るものと見ている。しかもダンボールは副資材。コストが求められ、新規の顧客開拓ではまず価格が問われる。
 「受注待ちの営業スタイルを何とか変えたい」。それもUVインクジェットプリンタの大きな導入動機でもあった。2年前に初めて、金融機関が主催する展示会に出展。最適な梱包資材の提案とともに、ダンボールでブースを作ったことが話題になった。次に県の主催する展示会では什器やPOPを作ったところ、来場者からの問い合わせが相次ぎ、実際に受注にもつながった。
 「什器の納品先がメーカーで、そこから本業のダンボールの受注にも繋がった。営業担当者はそうした開拓ルートがあるのかと気づき、その後も関わりのなかった業種からも問い合わせがくるなど、モチベーションアップにもなった」
 UVインクジェットプリンタの稼動率はその後向上。納期厳守のイベント関連の業務も増え、機械トラブル発生に備えたバックアップ機の導入が必要となってきた。

 DSC_1084.JPGダンボール製の受付台

hokusai_JETITAITAN.JPGJETI TAITAN

   

 バックアップ機の前提は大型梱包箱を展開するため、大判の板素材が扱え、その上プラダンに出力できること。様々な素材に印刷できるUVインクといえども、プラダンの表面にはうまく定着しない。検討したバックアップ機の中で、プラダンに出力できる機種はあったが、出力サイズが小さかったり、下地処理が別工程になったりと条件をなかなか満たさなかった。
 「什器やPOPのグラフィックの業務は、まずクライアントから商業印刷会社、広告代理店に話が持ち込まれることが判った。今後、そうした需要を取り込むためには、プラダンへの出力とサイズに加え、グラフィックに強い機種が良いと考えた」

DSC_1090.JPG

プラダン製オリジナル製品

 鈴木社長はバックアップ機という機種選定の方針を転換。アグフアの「JETI TITAN」の導入を決断した。
 「JETI TITAN」はワンパスで下地を処理する「インクジェットプライマー」を搭載しており、必要な部分にだけプライマー(下地剤)を塗布することができる。これにより原反の素材の風合いをそのまま表現できるほか、これまでUVインクでも難しかった素材にも印刷が可能となる。耐久性が求められるプラダンケースにも問題ない高い耐擦過性を備えていることや、自社生産のインクの信頼性・コストも機種選定の動機となった。
 「当社の強みは立体物。印刷会社の方々が取り組むには難しい点があると思うので、そうした部分でお手伝いができればと考えている」。アグフアのユーザー会「Apogeeユーザー会」の存在も「JETI TITAN」導入の決断を後押ししている。印刷会社との情報交換の場は非常に魅力的に感じた。
 現在、同社ではオリジナル商品として「救急ボード」の販売を始めた。素材にプラダンを使うことで軽量化を実現し、有効で150㎏までの重量に耐えられる。オリジナル商品の販売に当たっては販路開拓や意匠登録、安全基準など試行錯誤したが、大きな経験値を得た。
 DTP制作担当者はCAD設計を担う2名。もともとグラフィック系の業務に携わっていた。今後はデザイン力により磨きをかけ、立体物の制作支援を本格化するとともに、東京オリンピックや地元で開催されるラグビーワールドカップの大型イベントに向けてオリジナル商品の開発にも力を入れていく。
 UVインクジェットプリンタにより社員の意識は少しずつ変わりつつある。鈴木社長は「良い感じで変わってきているが、想像したところにはまだ届いていない」と、「JETI TITAN」の生産性、グラフィックの表現力を加えたことで、その方向をさらに加速させていこうとしている。

 

 

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