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株式会社プライズコミュニケーション

「立体印刷物」で企画商品

ペット業界参入、犬のクローゼット開発

 

印刷ジャーナル 2015年3月25日号掲載

 商業印刷を核にあらゆるプロモーションを総合的にプロデュースする(株)プライズコミュニケーション(東京都江東区大島2−9−25、小野綾子社長)は、アグフアのワイドフォーマットUVインクジェットプリンタ「アナプルナMv」によって、POPやパッケージサンプルなどの立体物制作を内製化。これまで順調にその稼働率を高めてきた。そしてこの「立体印刷物」事業は、昨年から企画開発をベースとしたオリジナル商品の分野に活躍の場を広げ、新たなステージに突入している。

 

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  小野 社長

     

■ 商業印刷ビジネスへの危惧

 同社がアナプルナMvを導入したのは2009年12月。この設備投資の背景には、同社が生業としてきた商業印刷ビジネスの将来に対する危惧があった。

 「少子高齢化やデジタル化の進展に伴い、商業印刷市場がシュリンク傾向にあることは間違いない。そこで従業員の継続雇用を考えた場合、早急に次世代の印刷ビジネスに着手し、もうひとつの事業の柱として確立する必要があった」と小野社長は当時を振り返る。

 一方で、販促、広告予算が削られる中、クライアントはより効果を求めて、その予算を消費者により近いところで訴求できるPOPやイベント関連の配布物などへシフトしつつあった。

 

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 井上 生産本部長

実際同社でも1〜2年程度さかのぼって協力会社への発注内容を分析した結果、POPやイベント関連の発注が意外と多いことに気づく。そこで「新たな印刷ビジネスの創造」を急ぐ同社が、次の事業領域として照準を定めたのが「立体印刷物」だ。

 カッティングマシンと肩を並べる形で導入されてから約5年。厚さ4・5センチまでの立体印刷物を高品位で生産できるアナプルナMvは、POPをはじめ、ゴルフボールやボールペン、パッケージサンプルなどの生産工程を担うことで順調に稼働率を高めてきた。そして同社の「立体印刷物」事業は、昨年から企画開発をベースとしたオリジナル商品の分野に活躍の場を広げ、新たなステージに突入している。

 

 

 

 ■ 「ものづくりの喜び」を共有

 「受け身では、従来の印刷ビジネスの延長線の域を脱しない。ものづくりの原点は、自らのアイデアで自らの作品を創造することにある。そこにものづくりの喜びがある」と小野社長。同社では、その舞台を大きな成長が期待されるペット業界に見いだし、オリジナル商品の開発に成功している。

 いまや子供の人数よりペットの数の方が多いと言われ、飼い主がペットにかける費用も子供以上だ。ある意味特殊な成長構造を持つペット関連ビジネスにおいて、アナプルナMvは「ペットのクローゼット」という全く新しい発想の商材の製造で威力を発揮している。

 

 

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佐藤 課長

 その名も「わんちゃんのクローゼット」を略して「わんクロ」(商標登録済み)。同社は昨年4月のわんわんカーニバルに参加し、試作段階の「メルヘン」「ヨーロピアン」「ポップ」といった3タイプの「わんクロ」を出品。その評価を800人にアンケート調査した。結果は、いずれもほぼ同様の割合で評価が分かれたことから3タイプすべての商品化を決めた。

 さらにリリースの場となった昨年7月のインターペットでは、海外からも大きな反響を得て、大手流通からのOEM供給などを含めた販路の拡大にも成功している。

 「わんクロ」の素材は紙製のオリジナルボード。アナプルナMvで印刷後、撥水加工してカッティング。後は手作業で組み立てるというもの。生産本部 制作部の佐藤麻男課長は「丈夫で水に強く、なおかつ軽量。木材を使用した同様の商品だと価格は3〜4倍、重さは2〜3倍になる」と「わんクロ」の特長を説明する。

 

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紙製オリジナルボードが素材の「わんクロ」   アナプルナMv
     

■ 受動から能動へ

 アナプルナMv導入は、「新しい時代の変化に即対応できる風土づくり」でもあった。現在、その取り組みが開花したわけだ。「受動から能動へ。アナプルナの導入で、社員は『考えて企画する力』を身につけた。印刷はクリエイティブ。みんなものづくりのDNAをもっている」(小野社長)

 一方、アナプルナ導入の企画段階から携わってきた生産本部 本部長の井上章一執行役員は、当時を次のように振り返る。

 「それまで立体印刷物は外注で、当時、生産管理でその発注を担当していた私は、楽しそうに仕事をしている外注先の人たちを見ていた。自ら提案したものが商品になっていく喜び。当社も取り組むべきだと社長に提案して実現した。『遊び感覚で考え、ものづくりする』。そんな風土がうまく根付いたように思う」

 分業化された印刷会社の組織の中で、ゼロからのスタートとも言えるアナプルナのビジネスは、その垣根を越えた社員のコミュニティ、あるいは課題を解決してくれる駆け込み寺的な役割を果たすようになっている。「楽しんで様々なアイデアを持ち寄る」「自社の将来を考える」。そんなきっかけとなったアナプルナ導入は、社員ひとりひとりのモチベーションを力強く下支えしているようだ。

 

■ 立体印刷物の割合「5年後には40%以上も」

 立体印刷と商業印刷の両ビジネスは、互いにシナジー効果を生んでいる。商印のクライアントからイベントの什器を受注することはもちろんのこと、商印より什器の提案の方が、クライアントは話を聞いてくれやすい。そこから信頼を得て商印の受注に繋がることもあるという。さらに、「わんクロ」のビジネスについても、OEMなどではロットが大きくなることから、オフセットで印刷+合紙で対応。ここでもシナジー効果を発揮している。

 現在、同社売上全体における立体印刷物の割合は10%程度。小野社長は「5年後には40%以上になっているかもしれない」と、その可能性に期待を語る。

 今後は、ペット業界でのビジネスを深耕する一方で、この成功体験を他業界へ水平展開していきたいという小野社長。「捨てられない印刷物」、いわゆる「商品として使ってもらえる印刷物」の開発に注力し、さらにこれら商品のネット販売の仕組み構築を急ぐ考えだ。

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